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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■PSE法〈電気製品安全法〉が4月から施行される。(2)
この4月から中古の電気製品が販売禁止になる。リサイクルショップは成り立たないし、消費者は中古の電気製品が壊れたら、修理もリサイクルショップに売ることも出来なくなる。
こんなでたらめ、めちゃくちゃな悪法がなんと5年前にすでに制定されていて、その5年間の猶予期間が3月いっぱいで切れる、という。PSE法とは「電気用品安全法」といい、メーカーなどの製造業者に自主検査などで安全を確かめて「PSEマーク」を付けるよう義務付けた。マークの無い製品は販売禁止だという。
中古品を扱う業者は、マークのついていない電気製品を販売する場合、経済産業省に届け出た上で、定められた方法で自主検査して「この電化製品で何か問題が発生したら、責任を取ります」と約束したらマークをもらって、つければ販売可能だ。しかし、それには検査、申請などに莫大な費用がかかり、また事故が起きれば、メーカーではなく、マークをつけた業者の責任になるので、困っているというわけだ。
もちろん、私を含めてほとんどの人が、そんなことを知らないし、問題なのは、素人とは言えないリサイクルショップの経営者まで、この悪法があることを知らされていなかった、ということだ。ある業者が経済産業省に文句を言ったところ、「官報に載っています」という答えだったという。お役所仕事の無責任、不親切、ここに極まる。
経済産業省は2000年度以降、メーカーや量販店を通じてパンフレットなどで周知をはかった、というが、リサイクル業者は個人経営が多く、全く知らされていなかった。マスメディアもここにきて取り上げ始めたばかりだ。
毎日新聞によると、日本全国にリサイクルショップは4万8000店といわれ、そこで扱う商品の5割を中古家電が占めている。最近製造された電気製品はマークがついているが、それ以前のものが問題だ。ある調査によるとこうした店で扱う中古家電の4割がマークなし。
で、どういうことが起きているかというと、リサイクルショップの対応は第一に、この3月いっぱいで、マークなし中古家電を仕入れ値以下で叩き売りすること、それでも売れ残った中古家電は、廃棄物として処分するか、外国に輸出するか、レンタルに回す、第三に、これでは商売が成り立たないので、すでに店員の首切りを始めている。売れ残った中古家電の処分費用は一台数千円もする。というわけで、もし中古家電を購入するなら、3月までがお買い得だ。
なぜエコロジーが叫ばれ、リサイクルしようという時代に逆行するこんな悪法が出来たのか。お役所がそれまで電気製品は「製造認可」で販売を許可していたのを、規制緩和、という名目のもとで「製造届出」に変更した、ということ。あのマンション、ホテルの耐震強度偽装事件でやったのと同じ手法で、安全基準の責任を役所が民間に押し付けたわけだ。
一番喜んでいるのは電機メーカーだろう。電気製品が壊れたら修理しないで新品を買ってもらえる、中古品として、再利用されていた自社製品が、どんどん新品に変わり、十分使えるものも廃棄処分されるから、売り上げは倍増、儲けは大きくなる。
耐震偽装問題は販売業者、検査した業者など民間に加えて自治体や国の責任も問われているが、考えてみると、電気製品の事故は「製造認可」の時代にも多数発生しているけど、役所が責任を問われたことはない。
ナショナルが石油ヒーターの不完全燃焼で何人かの死者を出した事故では、猛烈な量のテレビコマーシャルを流してこの機種を持っている人は届け出てください、とお知らせをし、なおかつ日本の全所帯にはがきでこの機種を持っていたら、連絡してください、とやっている。事後処理はメーカーとしてとても良心的だと思うが、お役所は知らん顔だ。
三菱自動車のトラック、バス、乗用車のいわゆる「欠陥車」と、「欠陥隠し」も世の中を騒がせた。自動車は完全に国土交通省の認可が必要で、ライトの角度がどうの、シートベルトの取り付け位置がどうの、車体の高さがどうの、などさんざん文句を付けて、もったいぶって認可するが、その役所が三菱自動車の欠陥で責任を取った、という話は聞かない。
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03月13日(月)
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