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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ サブプライムローンの損失額
ベア・スタンダーズを例としてあえて注意書きをしてみたが、USA TODAYと東洋経済のリストに、(特に金額において)大きな違いがあるのは、為替レートの変動以外にサブプライムローン独自の特性が原因。詳しくは上記で述べたが、評価額のほとんどが「時価」扱いであるため、「確定損」はともかく「評価損」の算出がしにくい。そして周辺事態は常に流動しているため、この「時価」も非常に動きやすいことがその理由。
また、先に【米メリル、サブプライムで評価損9100億円に拡大し赤字転落へ】でも言及したように、計上されている損失の少なからぬ部分が「評価損」であり「確定損」でないのも不安要素。上記説明にもあるように評価は「時価」であり、大きく変動しうる。買い手がいなければ買い手がつくまで値を下げるか「塩漬け」しなければならないのは個人投資家の現物株式と同じだが、損切りしてでも現金化しなければならない事態においこまれたとき、どこまで値が下がるか想定できない。よもや「タダ」ということはないだろうが、当初の評価額の1/5、1/10でも買い手がつかない状況になることもありえるかもしれない。
このような状況を考えると、上記の損失額がさらに今後増加する可能性は十分にある。実際に各金融機関も、今後追加損失が発生する見通しを発表している(例えばバンク・オブ・アメリカも次の四半期で39億ドルの追加損失計上を見越している)。
●政府・金融機関の対応と今後の情勢
先日各報道機関で報じられたように(例【ロイター:ブッシュ政権、金融機関とサブプライムローン金利凍結で合意へ】)、米系大手金融機関とアメリカ政府との間で、サブプライムローンにおける問題の一つ「二年後に金利がほぼ2倍に増える」時期を先送りすることが決定されるらしい。
サブプライムローンの問題の一つには「借りてから二年後に金利が約2倍に跳ね上がり、収入がそこまで対応できずに払いきれず、借金が焦げ付いてしまう」というのがある。この問題において「最初の低金利の期間を2年ではなく、さらに数年(一説では7年)延長」するのが今回合意されるのではないかという案。
金利上昇の開始時期引き延ばし策
・貸倒リスク軽減
・高金利の有利性が損なわれる
(金融商品として)この案が事実で実際に施行されれば、少なくとも実際にローンでお金を借りている人にとって、支払の負担が急上昇して払いきれなくなる事態を先延ばしすることができる。猶予期間のうちに収入を増やすか、あるいは「自分の背たけに合った」住宅に引っ越すなり債務を整理することが可能になる。
債務の焦げ付きが少なくなるので、サブプライムローンを組み込んだ金融商品のリスクも下がり、買い手がつかなくなる(そして評価額が下落の一途をたどる)ような事態は避けられる。
……ようにも見える。しかしサブプライムローンを組み込んだ金融商品は、「リスクは高いが利回りも高い」のがセールスポイント。特に「2年後の金利跳ね上げ」を前提に利回り計算をしている商品も多いはず。それらの商品の価値において、「2年後に金利がほぼ倍増するはずのものが、数年延長されてしまう」としたら、その金融商品の価値はどのように扱われるだろうか。「利回り5%、3年目から10%」だから買ったのに、「焦げ付く可能性が高いので10%に引き上げるのは10年後からにします」と変更されたら、変更前ほどの購入魅力はあるだろうか。「ゼロになる、あるいは買い手がつかなくなるよりはマシだけど」と思うかもしれないし「マシだけど、でも魅力はないから出来れば売り抜けてもっと高利回りのものに買い換えたいな」と考えるかもしれない。
焦げ付きのリスク軽減を評価するか、それとも利回りの事実上の悪化をマイナスに受け止めるか、それは市場の判断に任されることになる。そしてそれはフタをあけてみるまで分からない。
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01月20日(土)
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