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13匹目のバナナフィッシュ
by サキ
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■疑問〜TAROT Series 《U》
玉座に座った彼女は、待っていた。
それは、世界の創造。
彼女にその権利はない。彼女に世界を創造するなどという大それたことは出来ない。
それなのに、彼女は目の前で萌え出る草花を眺めながら、彼女自身の成果だと満足していた。


全身を青いローブで着飾り、頭から薄いシルクのヴェールを被り、頭上に月と、羽根のついた神獣を象った冠を戴く。胸の大きすぎるブローチは、太陽を模ったものか。だとしたら、なんてそれだけ彼女に不似合いなのだろう。


彼女は書物を手にしているが、それを開くことはない。
なぜなら、その内容は彼女がすでに暗記しているものだから。
彼女は鍵を手にしているが、それはどこかを開くためのものでもなく、閉じるためのものでもない。
なぜなら、それは彼女が決して触れることの出来ない場所のための鍵だから。


昼夜をつかさどる彼女の玉座は黒を基調に、半分が赤く燃える火と獅子のモチーフ、半分が青く立ち上る水と龍神のモチーフで飾られる。
すべてを彼女は意のままに操ることが出来る。
彼女が彼らに自分とは違う意思が流れていることを理解することが出来れば。


「退屈ね」
ふと、声を漏らした。
市松模様の床で寝そべっていたスフィンクスがふいと彼女へ首を向ける。
「草木が萌え出るのは美しいと思うわ。でも、わたしに、その草原で駆け回ることができないのなら、実は無意味なんじゃないかしら」
スフィンクスは彼女をじっと見る。
よくわからない、といった表情。
「そうね、そんなこと、関係ないのね」
仕舞いに彼女はそう言って、ふっと息を漏らした。疲れたわ、とでも言いたげだった。
「いいわ。わたしは、わたしの役目をひたすらひたすら、尽くすだけだわ。そうね」
そして、玉座にゆったりと座りなおす。


じっと前を見つめた大きな瞳は、すべてを見通す、理智に満ちた美しい瞳。
深く深く、知識を深め、学問を愛す。
彼女の名は、《女教皇》。
冷たいまでに美しい、つつましやかな博識の未婚女性の象徴。


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The Medieval Scapini Tarot 《U The Popess》
タロットをモチーフにした短編をあげていこうかなと。
第一回は、《女教皇》でした。
04月12日(水)
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