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ひぽこんコラム
by 和田
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■戸隠山
私が最初に話を聞くべきだった人に、今やっと話を聞けた。
戸隠から30分の「いりづな」という地域に住んでいた人。。。師匠の今の秘書の女性だ。
彼女は長野市内に生まれ育ち、その後、いりづなで働いていて、縁あって、その後、師匠のところで住み込みで働いている。私より少し年上。
そして言われた。
「いりづなもスキー場があって雪深いところだから毎日雪かきだけど、戸隠はそれよりもっと上だから、雪が毎冬2メートルぐらい降って、朝起きたら車も雪で埋まってる。あそこは慣れてない人には大変な場所だよ。家族がいるとかならなんとかなるけど、1人だとむずかしいかもしれない。もちろん人はすごくいい人ばかり。私も知り合いがたくさんいるから、いくらでも紹介してあげられる。でも、雪はね、本当に大変。それから標高が1000メートル越えるから、その空気に慣れるのもちょっと大変だよ」
現実。
現実だ。それが。
山形の友達がずっと言い続けてくれた「雪をなめるな」という言葉がズシンとまた胸に響く。
私は雪という現実から目を背けて、なんとかなるんじゃ?と甘く考えてきたけど、いや、違う。雪こそが、戸隠で暮すことで最大の難関だ。夏はすばらしいという。彼女もそう言ってた。人は、、、私が会った役所のおじさんの人の良さそのまま、いい人ばかりだという。
でも、今まで一度も雪国の暮らしを体験したことのない私が、たった一人で2メートルも降る雪に対処できるとは今はとうてい思えない。毎日誰かを頼るようでは、生活はできない。泣き言を言っても、空から雪は舞い落ち続けるだろう。
ううううむ。。。。と書こうとして、止めたいと思う。うううむ、どころではないのだ。
いや、なんとかする。私は2メートルの雪を毎日かいて暮らしていく、と今はとても言えない。言いたい気持ちは山々だけど、それをやったことがなく、この前の東京の雪の、たった10センチやそこいらの雪をかくのも一苦労だったことを思うと、あれの何倍もの雪を毎日、毎日、冬の間中、来る日も来る日も除雪するというのは・・・・・・。
雪だけではなく、やはり暖房費が半端なくかかるから、冬の出費を考えろ、と言われた。東京だって今年は寒くてなんだかんだでかなりかかった。私が今住んでいる部屋は南向きでベランダに屋根がなく、日差しが思い切り入るので、昼間はほとんど暖房はいらなくてもけっこうかかった。電気代もガス代も上がってる。灯油は使ってないが、使ってる母いわく、上がってるそうだ。
ああっ。人生は厳しい。人生は一足飛びで解決できない。人生は・・・。
だんだん、いや、もう、とっくからだけど、私の手になかなか負えなくなってきた。
それでも否が応でも朝は明け、夜はやってくる。その当たり前のことが、本当はうれしいそれが、こんなときは残酷なことにさえ思える。いっそのこと朝は明けず、永遠に夜で、このまま時が止まってしまえばいいとさえ思ってしまう。
永遠の、すべての終わりが来ればいいのに。そうしたら、本当に楽なのに。
でも、私のそんな自分勝手な願いなど、天と地が引き受けてくれるわけがない。
朝は明け、夜は来る。その間にも息をし、ものを食べ、生きていかなければならない。首をかけ、私の体重を引き受けるようなドアノブは私の住むボロいアパートにはない。ドアノブが引き抜けて、弁償代を払うことになるのが関の山だ。そんな出費はもったいない。
それなら私ができるのは?
できるのは、息をして、生きていくことだけ。
今日も。今も。3秒後も。
戸隠は美しい場所だ。戸隠、ありがとう。難しいだと分かりながらも、戸隠には行ってこよう。戸隠の人たちと知り合いになりたい。
戸隠山はこんなです。山それ自体が神様のようです。

03月31日(月)
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