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東京の片隅から
by はる
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■「鳥の歌いまは絶え」
ケイト・ウィルヘルム「鳥の歌いまは絶え」読了。
正直タイトル買いである。タイトルはシェークスピアのソネットかららしいが、響きが美しい。
もともとサンリオSF文庫で出ていたらしいが、サンリオSF文庫文庫自体もうないので、久しぶりの復刊と言うことになるのだろうか。いまのところ元・サンリオSF文庫は外れなし。
直接的には描かれないが核戦争と放射能汚染の広がる世界で、アメリカ合衆国のある谷にシェルターのように避難して暮らす一族の物語。地名が出てくるので、頭の中に地図を広げながら読み進む。「シェナンドア」の響きで頭の中には「おぉシェナンドー」とメロディが流れる。
1970年代の作品らしく、「風が吹くとき」と同じ世界観だ。それだけ世界崩壊を肌で感じていたのだろうと思う。
ディストピアものとくくられるのだろうが、実際生き延びようとするとこうなるよね、という妙なリアルさがある。最後はほのかな希望を持たせて終わる。
読み応えのある作品だった。
12月20日(月)
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