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カンゲキ★日記
by Ruby
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■◆『三つの愛の物語』 【三人姉妹】【マルグリットとアルマン】【カルメン】ギエム、ダウエル、コープ、ムッル、斎藤、首藤

【三人姉妹】

マーシャ:シルヴィ・ギエム、
イリーナ:エマニュエラ・モンタナーリ、
オリガ:ニコラ・トラナ、
ヴェルシーニン中佐:マッシモ・ムッル、
クルイギン:アンソニー・ダウエル、
トゥーゼンバッハ:ルーク・ヘイドン、
アンドレイ・プロゾロフ:マシュー・エンディコット、
〔ピアノ演奏:フィリップ・ギャモン〕

美しいピアノの生演奏が奏でるのは、ロマンティックなチャイコフスキーの調べ。
小品を繋げ、うまく演劇的なバレエに振付け仕上げたのは、様々な傑作を生み出したマクラミン氏です。
私は物語もよく知らず、この作品も初めて目にしましたので、バレエでこのような世界も作り上げられるのかと大変感心しました。本当に演劇的なバレエ。
全体的に黒っぽく暗い照明の中、浮かび上がる様々な登場人物達のそれぞれの心の動きを繊細に描いている作品。
ピアノの小品が終わるたび、違う人物にスポットが当てられます。登場する誰もが満ち足りておらず、何ともいえない切なさを静かに訴えかけてくるような印象を持ちました。

久しぶりに観たギエムは、前よりもまろやかに見えました。以前は、あの完璧で強靭な脚ばかり印象に残っていましたが、背中やこんなに手や腕の表情が美しいとは!  改めて感心しました。
ギエム演じる次女マーシャは、ダウエル演じる田舎教師で実直な夫、クルイギンに満足できず、駐留中のヴェルシーニン中佐と恋に落ちてしまう。
ギエム=マーシャは、夫に対して悪いとは思いつつも、完全に心は冷めていて、若いヴェルシーニンとの恋に突き進み、でもいざという時には躊躇しながらも、心には逆らえず深みにはまっていく姿を熱演していました。
ギエム=マーシャは、夫との生活から逃れたい一心で、クルイギンに対してはかなり冷たく軽んじてさえ見えました。

その分、ダウエル演じるクルイギンの風貌、不器用なまでの人の良さが浮き彫りにされ、観客はより哀れに感じてしまいます。このダウエルが何といっても素晴らしい。
愛している妻が、自分に心が完全に離れていってる事をわかっていながら、怒ったり、憤るよりも、苦しみながら愛し続け、別れることなどとうてい出来ない…。
それ程愛しく思って苦しんでいる姿が、ギクシャクした彼のソロを観ていると何とも心が痛くなってしまいます。
多分観客が最も哀れに感じたのは、ダウエル演じるクルイギンでしょうけれど、ある意味“うざったさ”も見事に演じておられて、あんな風に思われすぎるとマーシャにも同情心が沸いてしまいますね。

しかし、ヴェルシーニンと別れ、辛く絶望的な気持ちでいる妻を元気付ける、“あの演技”(おどけたピエロのまね?)は涙モノ…。
マーシャは救われたのでしょうか? “あれ”は何の救いにもなりませんね。
もう女性は居たたまれず逃れたくなるでしょう。
今回、ダウエルの演技を観れたことは、本当に宝物になりました。

この日のヴェルシーニン中佐を踊ったのはマッシモ・ムッルです。
このような表現力を要する舞台に最近しばしば登場してくださるのですが、私が見たこの日は、けして悪いと言うわけではないのですが、なんだか踊りが重ためで、キレていなかったような…。(ソロでは着地音が大きかったし)
演技は、特に感情が湧き上がってくるような、心に迫るものがそれほど伝わってこず、淡々とした舞台から、はみ出してくる何かが、今回あまり感じられませんでした。
ギエムとのパートナーシップも、2人が本気でぶつかり合って作り上げた演技というより、少し相手にまだ遠慮がみられるような…。

でもムッル氏の切なげな表情は好きなのよねぇ…。(長髪時代はもっとイケメンだった)
後の演目、アルマン役の時はどうなのか、評判が高いだけに観てみたいですね。
余談ですが、今回は、衣装もカッチリした軍服で、以前「プティガラ」の時、書いたように、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディにそっくりと、あらためて舞台を観ながらまた想像してしまったわ…。
(音楽もピアノのだったし)あっ、勿論マッシモの方がいい男ですよ。余談でした。


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06月18日(水)
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