ID:15636
つらつらきまま
by seri
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■いつか来る日

夕方のニュースを(とうとう来たか…)という思いで見ていたら、高校の同級生で古典芸能好きの同級生(現在は関西在住)から「今、ニュースでこいし師匠の訃報が…(T T)」というメールが届いた。

 7、8年前、喜味こいし師匠が本を出版し、その記念のサイン会が紀伊国屋書店で行われた。
 ただし、場所は梅田(大阪)。
 それを知った時、何故か私は(これは行かねば。これに行かなかったら、もう私はこいし師匠をこの目で見る機会は恐らくない)という思いに駆られ、前述の同級生に頼んで整理券を取ってきてもらい(当然ながら梅田でしか配られなかったから)、わざわざ新幹線に乗って大阪まで行って来た。
 当日は師匠に声を掛けることは出来なかったし、サインも師匠の名前以外は入れることはできない(日付や自分の名前を書いてもらうなどのお願いは一切不可)ということだったので、直にこいし師匠を見ることが出来たのは1分足らずだったが、凄く満足だった。

 上品ながらもどこか飄々とした空気を漂わせ、聞く側に決して嫌な思いや不快な思いを抱かせず、ほんわかした余韻でしめられるあの漫才を生で聞くことが出来なかったのは、私の後悔の一つだが、“どついたりけなしたりしなくてもいくらでも言葉だけで笑わせることが出来るのが漫才である”ということをテレビで何度でも見せてもらえたことは、凄く良かった。

 今日の訃報を聞いた時、真っ先に思ったのは、(あぁ、こいし師匠は7年半ぶりにまた相方と再会出来たんだ。あっちの世界でまた漫才できるんだ)ということだった。
 私はスピリチュアルなものは苦手で、あの世とか生まれ変わりとかいうのも信じていないけれど、完全には否定できない自分もまたいる。
 矛盾を抱えながら生きている。

 喜味こいし師匠、長い間お疲れさまでした。
 ご冥福をお祈りいたします。
01月23日(日)
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