ID:15636
つらつらきまま
by seri
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■ムクムク

Amazonで注文した「文芸別冊 総特集 武田百合子 天衣無縫の文章家」が届いたので読みふける。
 単行本未収録作品の収録や写真、家族・知人のインタビューなど、思っていたより遥かに充実したムック本だった。
 武田百合子さん、といえば「富士日記」だが、最後の著作となった「日々雑記」の味わいの方が今の私は好きだ。
 夫・武田泰淳氏や飼い猫の玉、作家の大岡昇平氏など、「富士日記」の中では健在だった家族や知人は、「日々雑記」では既に故人だったり、序盤では存命であっても、中盤や終盤になると世を去るという記述が目立ち、作者の百合子さん自身も出版の4カ月後、泰淳氏と同じ病気で世を去る。
 献辞にポツンと書かれた「いなくなった人たちに」という一言に、なんともいえない寂しさと達観さが滲み出ていて、何度も読み返したくなる。
 
 そういえば、「武田百合子」という名前を初めて知ったのは、小学校か中学校の国語の教科書だった。
 載っていたのは「富士日記」だったが、昭和40年代の生活の描写は自分にとって遥か昔の時代のことのように思えて、当時はそんなに面白いと思わなかったけれど、そんな昔のことを書いている作者が存命中ということが意外に思えたので、何となく覚えていた。

 百合子さんが亡くなって、今年で17年。
 日々雑記に出てくる街や物も、今では無くなったり変わったりしたものが少なからずある。
 時が止まった者と、生きている者の違いはこういうことだろうなぁと思う。

神保町にウォーキングシューズを買いに行く。
 条件は「ゴアテックス使用」。
 色々見て回り、条件に合うものがあったので買ったが、ふと、気まぐれにネットでこの靴を検索したら、「欠点は滑りやすい」と、私のトラウマにストライクなかきこみが!
 まあ、山に持って行かないから良いかと思ったら、マンションの廊下で滑ったとか言う記述があり、なんだか泣きそうになる。
 見なかったことにして、そんな噂聞いたことないね、と忘れてしまおう。
 そうするに限る、多分。

「読んでから笑え」のムック本が出た、と数日前の朝日新聞に告知があり、2丁拳銃の名前もあったから、1/2ページ、あわよくば1ページインタビューがあれば買おうかな、と三省堂書店で手を取ってみたら、そんな扱いでも無かったので、立ち読みに止める。
 パラパラめくっていたら、鶴瓶さんがいたような感じだったので、(誰かと対談か?)と思ってそのページに戻ったら、TKOだった…。
 こんなベタな見間違いをしてしまい、鶴瓶ファンとして非常に恥ずかしい。

帰宅し、ネットで明日の甲府行きを予約する。
 手頃な値段で遠くて知らないところに行きたくなったのだ。
 これが東京に来て初めて、特急券を必要とする特急列車乗車日。
06月19日(土)
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