ID:15636
つらつらきまま
by seri
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■酔っ払い、色々思う
会社の歓送迎会へ行った。

今、同期のSEが休職している。
 休職、というか会社に来ない。
 一時は連絡もつかなかった。

 彼に用事があったので彼の部署に行ったら、彼の机が妙に片付いていた。
 「あれ?今日ナガセさんいないんですか?」と彼の上司に聞いたら
 「う〜ん、ちょっとねぇ…」とあいまいな答えが返ってきた。

 この
 「う〜ん、ちょっとねぇ…」を2週にわたって聞けば、彼の状態に異変が起きていることはどんな人でも悟る。
 けれど、さりげなく聞き出そうとしても返ってくる答えはいつも
 「う〜ん、ちょっとねぇ…」。
 
 御用納めを来週に控えても、彼の机の上に置かれているものは12月第2週から1ミリも動かされず片付いたまま。

今日の歓送迎会でやっと彼の上司が教えてくれた。

 彼が自分の仕事以外に彼の後輩だけでなく彼の先輩の仕事すら引き受けていたこと。

 だけど抱え込みすぎてどうにもならなくなっていたこと。

 どうにも出来ない状態を誰にも言えなかったこと。

 ついにこころの糸が切れてしまったこと。

 今はただ何もしないで1日部屋で横になっているだけの生活を送っていること…。

 彼の上司は隣のテーブルにいたので、私は自分のテーブルで起きているどうでも良い話題をへらへら笑いながら聞いてるフリをしつつ、全身を耳にして隣のテーブルの話を聞いた。

 切なかった。
 先月のおかしかった自分と彼が重なったから。

 私も先月、仕事を抱え込みすぎておかしくなった。
 どうして良いか分からず、早くSOSを出さなきゃと思えば思うほど
 (今頃言っても遅いんじゃないか…)
 と思うと怖くなり、言い出せず…と悪循環だった。

私と彼が違うのは、「助け舟が出されたこと」と、「助け舟に乗ったこと」だ。
 主任もミカコさんも部長も私の状態を見抜いた。
 そして、さっと助け舟を出してくれた。
 私はどうにも出来なかったからそれに飛び乗った。

 主任は自分の仕事も大変なのに私のために時間を費やしてくれた。
 ミカコさんはいつも「大丈夫、大丈夫」と言ってくれた。
 大声で怒鳴りつける部長は、期日が遅れに遅れた私の仕事を笑って許してくれた。

 彼の上司も彼の異変に気づいていた。
 さりげなく助け舟を出そうとしていた。
 だけど、彼は「大丈夫ですから」と言っていたらしい。
 彼はなまじ普段の仕事が出来るだけに、彼の上司もその言葉を信じていた。
 彼の力を信じていた。

「オレね、カワイさん(主任・仮名)がせりさんの仕事を指導してるところに立ち会ったことがあるのね。
 もうさぁ、カワイさん、すごく丁寧に指導してるんだよ。
 カワイさんがあんな優しいって思わなくてさぁ。
 あぁ、カワイさんはせりさんを一生懸命に育てようとしてるんだなぁって思った。
 で、それ見ててさぁ、オレもナガセにこう助け舟だしてやれれば良かったんだよなぁ、と思ってさぁ…」
 と、彼の上司が言った。

 「人を育てる、って本当に難しいよねぇ。
  ナガセが苦しんでることに気づいてたんだから、もう少しおせっかい焼いてやれば良かったんだよなぁ。
  お互い、変な意地張っちゃって、どうにもならないところまで行っちゃって。
  ナガセがあんななる前にもっと方法も時間もあったのにね」
 と、切なそうに言っていた。

 彼は自分で自分を傷つけている。
 彼の上司も、すごく心を傷めている。

 みんな優しい。
 優しいのになぜか傷ついている。
 
 私は彼に何が出来るだろうか。
 何もしないまま終わってしまいたくない。

 今の彼は、私がたどるかもしれなかった姿だ。
 だからこそ、彼に会いたい。
 何も出来ないかもしれないが、彼に「大丈夫」を与えたい。


さて、繊細すぎて傷つく人間もいれば
 (コイツは今まで何をして生きてきてん!?)
 と不思議に思うほど鈍感なヤツもいる。

 イマイ(仮名)というヤツがいる。
 悪い人ではないと思う。

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12月18日(木)
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