ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■無人車が走る!
昼間、店長の声で、変な店内放送が入った。
「お車ナンバー北九州…でお来しのお客様、至急お車までお戻り下さい。ぶつかってます」
というものだった。
ちょうどぼくが、休憩室でジュースを飲んでいる時だった。
ぼくはそれを聞いて「何かあったんかなあ」とは思ったが、あまり気にならなかった。
ジュースを飲み終わった後、売場に戻ってみると、テナントの子が「しんたさん、見ましたか?」と言う。
「何を?」
「えっ、駐車場ですよ」
「ああ、さっきの店内放送のこと?」
「ええ。すごいことになってますよ」
それを聞いて、さっそくぼくは駐車場に行ってみた。
しかし、すごいというほどの光景は、そこにはなかった。
そこで、そこにいた隣の店の人間に「何かあったと?」と聞いてみた。
「あれですよ」
そう言って、その人は向こう側の駐車場を指さした。
うちの店の駐車場は、店側に一列と、道路側に一列駐められるようになっている。
向こう側というのは、道路側のことである。
見てみると、軽のワゴンの後ろに、普通車が駐まっている。
「あれ?」
「ええ、あれです」
「えっ?」
ぼくには「あれ」のどこがすごいのか、すぐにはわからなかった。
その間には、2台の車が離合できるくらいの道路(私道)がある。
「あれ」に駐まっている車をよく見てみると、後ろの普通車がその道路にはみ出している。
『えっ…』
何となく事態がわかってきた。
そこで先ほどの人に、
「ねえ、あの車ぶつかっとると?」と聞いてみた。
「そうですよ」
「もしかして、あの後ろの普通車、最初店側に駐まっとったと?」
「はい」
「もしかして、あの普通車はミッション?」
「そうです」
「そうか。ようやくわかった」
その普通車は、最初、店側の駐車場に駐めていた。
ところが、運転手はシフトレバーをニュートラルにし、さらに悪いことにサイドブレーキをかけ忘れて降りてしまった。
駐車場は道路側に若干傾斜しているいたため、そのまま車は前に移動していき、道路側に駐めていた軽のワゴンに突っ込んだというわけだ。
店長が店内放送を流してから、10分以上経っても普通車の持ち主は現れなかった。
一方の軽のワゴンの持ち主は女性だった。
配達の途中とかで、車が出せないと言って困っていた。
他の人も同情してか、「普通車の運ちゃんは何をしよるんか!」と言って怒っていた。
そして、店内放送を流して30分を過ぎた頃、普通車の持ち主が買物を終えて戻ってきた。
老夫婦だった。
二人は最初に駐めていたところに車がなかったので、びっくりしていた様子だった。
ふと前を見ると、向こう側の駐車場に自分の車があるのを見つけた。
慌てて走っていった。
そこで軽の持ち主とやりとりをしていたようだ。
後で聞いた話に、ぼくは思わず笑ってしまった。
普通車の持ち主であるじいさんは、
「おれはちゃんとサイドブレーキを引いていた。こんなことは初めてだ」と言ったという。
ところが、その直後にばあさんが、
「あんた、またやったんね」と言ったそうだ。
しかし、車が移動している時、よく通行している車がなかったものだ。
もし通行している車に当たっていたら、こんな笑い話ですまなかったかもしれない。
12月21日(水)
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