ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■上京前夜(12)
こうなれば善は急げだ。
さそっく行動に移した。
ぼくたちの距離は300メートルほど離れていた。
そこでダッシュで追いかけた。
その間、何と言おうかと考えていた。
が、何も思いつかなかい。
「こうなりゃ出たとこ勝負だ」と思った。
そして、Oさんに追いつくと、その肩を叩いた。
Oさんはぼくのほうを向いた。
何がなんだかわからない様子だった。
が、ぼくの顔を確認して、少しホッとしたような表情をした。
それを見てぼくは、「つき合って下さい」と言った。
Oさんは、別段驚いているふうでもなく、「突然そんなことを言われてもねえ…」と答えた。
ぼくは、そこから何と言っていいのかわからなくなった。
数秒の沈黙の後、Oさんが口を開いた。
「あなたいくつ?」
「今20歳やけど」
「何ね、年下やないね」
Oさんは、まったくぼくには興味がなかったようで、隣にいた女性Uさんと、顔を見合わせて笑っていた。
どうやら、これで断ってくれると確信したぼくは、「だめ…よね?」と念を押してみた。
するとOさんは、「友だちということではいけんの?」と言った。
「友だちか…」
「だめ?」
「いやいいけど」
「じゃあ、友だちやね。じゃあね」
そう言うと、Oさんはさっさと歩き出した。
その後ろをぼくは、ゆっくりと歩きながら、内心ホッとしていた。
予定通り断られたのだ。
元々好きでもなかった人だから、ふられても落ち込む必要がない。
これでKさんの執拗な攻撃を受けることはなくなるだろう。
しかし、どうして女は男をふる時に、『友だち』という言葉を使うのだろうか。
ぼくは、これまで何度かこの言葉に泣かされている。
彼女たちのいう『友だち』とは、いったい何なのだろう?
どこまでが許されるのだろうか?
電話をかけてもいいのだろうか?
映画に誘ってもいいのだろうか?
食事に誘ってもいいのだろうか?
そのへんがよくわからないのだ。
いや、もしかしたら、『友だち』と言っている本人にもわからないのではないか?
ま、体のいい断り文句だと言えば、それまでだが。
では、もし彼女たちがOKする時、いったいどういう言葉を使って、男を受け入れるのだろうか?
「はい」のひと言だろうか?
涙の一つでも見せるのだろうか?
それとももったいつけて、「考えさせて」などと言うのだろうか?
ぼくにはうまくいった経験がないので、そのへんがよくわからない。
そう言うと、「嫁さんはどうだったんだ?」と聞く人も出てくるだろう。
嫁さんとは、帰る方向がいっしょだったため、いつも帰りがいっしょになった。
それがいつの間にか、つき合いに発展したものである。
だから、別に「つき合って」などということはなかったのだ。
01月17日(月)
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