ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
[225806hit]
■休みの日は雨に祟られてばかりだ(後編)
その呆気にとられている従業員をぼくは呼んだ。
「ねえ、ここに1巻から4巻まで出てるんですけど、残りはありますか?」
本の帯に全6巻と書いていたのだ。
「これは…、お取り寄せになりますけど」
「いいです。取って下さい。で、1巻から4巻までは今日買いますから」
その本が入ったという連絡が、日曜日にあったのである。
別に急いで買いに行く必要はなかったが、1巻から4巻までを一気に読んでしまったので、早く続きが読みたかったのだ。
さて、本を買ってから、すぐに帰ろうと思ったのだが、この本2冊だけでは、2千円に満たない。
このまま帰ってしまうと、駐車料金を払わなくてはならない。
館内をぶらぶらしていたが、別に欲しい物などない。
どうしようかと考えたあげく、食堂街で軽食をとることにした。
食堂街に行くと、新しくレトロ風のレストランが出来ていた。
店を選ぶのも面倒なので、その店に入った。
メニューを見ると高そうなものばかりである。
その時、ある品目が輝いて見えた。
『男の焼き飯 680円』
これで2千円の不足分を補える。
駐車場でレシートを見せると、係の人が「無料でございます」と言った。
1時間停めていたので、もしレシートがなければ300円を取られていたところだ。
ある種の満足感を覚えて、ぼくは店を出た。
それから寄り道せずに家に帰ったのだが、何か心に引っかかるものがある。
「ああ、そうか!」
しばらく考えて、やっと気がついた。
駐車料金である。
『男の焼き飯 680円』なんか食べなくても、駐車料金300円のほうがはるかに安いではないか。
こんな簡単なことに、なぜあの時気づかなかったのだろう。
間抜けにも満足感さえ覚えていた自分が情けない。
「これには、きっと何かがある。その何かが思考を麻痺させているに違いない」
外を見ると、さっきより降りが強くなっている。
雷もあいかわらずだ。
「そうか、この雨のせいだ。この雨が思考を麻痺させているんだ」
6月以来、休みの日はほとんどが雨である。
朝起きると、黒く重苦しい雲が立ちこめている。
この重苦しい風景が、気を重くして思考を麻痺させたのだ。
そういえば、この夏、雨に何度祟られただろう。
売出しのある日はいつも雨が降っていた。
涼しい夏。
おかげで夏物が売れない。
仕事だけではない。
いつも煩わしい事件は雨の日に起きている。
台風の数も例年に比べると、多いような気がする。
おそらく1年分の雨が、この夏降ったのではないだろうか。
もう、いいかげんにしてもらいたいものである。
09月12日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る