ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■血なまぐさい話
店に勤めていると、いろんなことがあるものだ。
今日、ぼくの販売人生で初めての事件に遭遇した。
午後2時前だった。
ぼくが倉庫から売場に帰ってくる途中、「2階の駐車場に人が倒れている」という情報が入った。
ぼくは、新しく店長代理になったIさんと二人で現場に駆けつけた。
見ると、五十面のおっさんがそこに倒れている。
いびきをかいてなかったので、脳内出血じゃないと楽観していたのが大きな間違いだった。
近寄ってよく見てみると、駐車場の車止めのところに頭を向けていたのだが、頭からけっこう多量の血が溢れ出ている。
洗面器の半分ぐらいの量は出ていただろう。
「死んどるんじゃないんか?」と思いながら、Iさんと二人で声をかけた。
「おいさん、大丈夫ねー」と言っても返事がない。
息をしているかどうか確かめようと近づいた時、そのおっさんの脚が動いた。
どうやら死んではなさそうだ。
しかしこのまま放っておいてはいけない。
と、Iさんが救急車を呼びに行った。
ぼく一人になった。
こういう時、素人は何をしていいのかわからない。
ただわかっているのは、頭を打っているようなので、絶対に動かしてはならない、ということだけだった。
そうこうしているうちに、おっさんが動き出した。
「おいちゃん、動いたらいけんっちゃ」とぼくは軽く体を抑えた。
しかし力だけは、まだあるようだ。
こちらが力を入れて、もしものことがあってはならない。
そこでぼくは手を離し、おっさんの様子を見ていることにした。
ぼくが一人でいた時間は3分ぐらいだったが、えらく長く感じた。
2階に上がるループから、社員のHさんがやってきた。
ぼくはホッとした。
しかし、二人になっても何をするでもない。
ただ、救急車が来るまで、おっさんが動かないように見ているだけである。
ちょっと離れた場所からお客が見ていたが、大の大人が二人で、倒れたおっさんの前で何もせずに立っている姿は、きっと間抜けなものだっただろう。
怪我の応急処置を知らないわけでもないのだが、箇所が頭ともなると止血の仕方もわからない。
まさか首を絞めるわけもいかないし。
ただ、タオルで頭を抑えることしかわからない。
それも、下手に抑えるわけもいかないから、とりあえずおっさんの頭にかぶせておいた。
「しかし、どうして倒れたんかなあ」
初めてどうして倒れたかの話になった。
それまでは、おっさんの状態が気になっていたので、どうして倒れたのかなどと考える余裕はなかった。
「殴られて倒れたんじゃないか」
「犯人は怖くなって逃げたんでしょうかね」
「あ、こんなところに小便しとる」
そのおっさんが倒れていたのは、駐車場の壁面だった。
壁をよく見てみると、小便が流れていた。
どうやら失禁ではなく、立小便をしたようだ。
「さっきから気になっとったけど、この車はなんですかねえ。鍵も付いたままになっているし。もしかして犯人の車ですかねえ」
おっさんの横には、ぼろぼろの車が停まっていた。
車の中を覗いてみると、運転席に靴が脱いであった。
そのおっさんはサンダルを履いていた。
おっさんの横には車の鍵が落ちていた。
謎が謎を呼ぶ事件である。
ぼくは鍵がなくなったら困るだろうと、おっさんのポケットの中に入れておいた。
ぼくたちがいろいろと推理をしているところに、Iさんが戻ってきた。
手にたくさんのタオルを持っていた。
Iさんは、救急隊から「タオルか何かで傷口を押さえとけ」と言われたらしい。
ぼくがタオルを頭にかぶせたのは間違っていなかったようだ。
ただ、手で抑えておかなければならなかった。
Iさんが「そういえば、しんた君店内放送で呼ばれよったよ」と言った。
ぼくは成り行きを見届けたかったのだが、今日は従業員が少なかったので、しかたなく売場に戻った。
用事を終え、現場に行ってみると救急車が来ていた。
「車検証で身元がわかるけど、この人鍵を持ってないかなあ」と言っていたところだった。
ぼくは「この人の横に鍵が落ちていたので、ポケットの中に入れましたよ」と言った。
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01月06日(日)
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