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えびたま
by くにひた
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■映画は良かったけど、トークがつまんない
踊りのお稽古から戻って一息つく間もなく
4病院統合反対のシンポジウムへ。
医労連のKさんからお誘いいただいていた。
とても興味深かった。

医療社会学者の先生と、
Dr.である前回の宮城県知事候補・長さんが、
それぞれ考えに違いはあれど、
地域との対話もなく、何一つ情報開示もせず進めている
宮城県のやり方を糾弾した。
統合問題の当時病院の一つ、労災病院の労組の代表の方が
働く立場から、蚊帳の外に置かれている職員の現状と
移転した場合、現実的に働き続けられるのか
職員の希望はどうなのかなど、アンケートの結果を示した。
多くの職員が、移転後就労を続けられないと答えている。
研修医のニーズともマッチングしない。
労災病院が今ある青葉区の町内会の代表者は
単純に地域の病院がなくなってしまうことのデメリット
情報開示に全く応じず、
決定しか発表しない県の横暴を訴えていた。
いろんな角度で、この問題のおかしさが理解できる!!

勉強になりすぎて、感動したものの
アタマがすっかりキャパを超えてもー眠かったが
夜映画を観にフォーラムへ。
「アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜」vol.2の
第二夜、アキ・カウリスマキの「マッチ工場の少女」
母親と義理の父を養うためにマッチ工場で働くイリス。
給料をはたいてドレスを買い、養父に殴られ家を飛び出し
バーで引っ掛けられたおっさんと1回寝てしまう。
すぐに捨てられちゃうのだけど、妊娠していることに気づく。

あらすじだけ最初に読んでて、すごく暗い悲劇かと思うが
カウリスマキ監督って、コメディ監督と評される人なのだ。
冒頭のマッチ工場の機械を淡々と映すシーンから
割と淡白にストーリーは進む。

後半、男に捨てられ、赤ちゃんもダメになり
家も追い出されたイリスは
薬局で殺鼠剤を買う。
別れを告げにきたと言って、捨てた男の家に上がり込み
飲み物に殺鼠剤を入れて立ち去るイリス。
その後、飲み屋で声をかけてきた男のグラスにも
笑顔で殺鼠剤入りの液体を注ぐ。
しまいには母親と養父の飲む酒の瓶にも同じ液体を入れるのだけど
飲んだ人たちがどなったかは映し出されない。
ラストシーンで警察らしき男たちに連れて行かれるイリス。

終演後のトークで、若き映画監督2人は
イリスが殺人を犯した前提で話してたけど
殺鼠剤で人は死なない。
映画監督の一人が読んだというカウリスマキ監督のインタビューで
最後に出てくる警察らしき男二人のことを
「彼らは警察じゃなくて、イリスをピクニックに誘ったんだよ」
と答えたらしけど(インタビューによって答えは違うそだけど)
そいうことだよなと思った。
半分は観客の想像力に預けているけど
そこまでの残酷さを描きたいのじゃないと思うのだ。
彼女のささやかな復讐は、悪ふざけ程度の結果しか生み出さないし
マッチ工場の同僚たちは彼女が連れて行かれたことも気づかないけど
観ている観客は、ちょっとスカッとして、
ちょっと寂しさを感じるのだ。

「希望のかなた」も良かったけど、
あーなるほど、カウリスマキってクセになりそだ。
他のも観てみよ。
12月12日(日)
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