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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■この程度のことならまだ自由にモノが言えるとは思うが/映画『タッチ』
どうすっ転んでも、女性天皇は決定的だろうなと思ってたところに、とんだ横槍。
しかもそれがよりにもよって皇族の中からの発言だから、これはちょっと厄介な事態になってしまう可能性も孕んでいる。
「ヒゲの殿下」こと、三笠宮寛仁さまが、自分が会長を務める福祉団体「柏朋会」の会報にエッセイを寄せて、文中で「プライヴェート」と断った上で、「女性天皇」について疑問を表明したというのだが、その内容の紹介がね、ネットじゃね、かなり「省略」して紹介されているのだわ。ちなみに、読売新聞のネット配信記事はこうなっている。
> 寛仁さまはまず、「万世一系、一二五代の天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代・神武天皇から連綿として一度の例外も無く、『男系』で続いて来ているという厳然たる事実」と強調。〈1〉皇籍離脱した元皇族の皇統復帰〈2〉女性皇族(内親王)に元皇族(男系)から養子を取れるようにし、その方に皇位継承権を与える〈3〉廃絶になった秩父宮や高松宮の祭祀(さいし)を元皇族に継承してもらい、宮家を再興する――などの方法を挙げられている。
問題点を列挙すれば、まず、「神話の時代の初代・神武天皇から」と、「神話」という明らかに考古学的には信憑性に乏しい伝承を根拠としていることだね。「紀元は2600年」どころか、大和朝廷の成立はせいぜい4世紀ころまでしか遡れない、というのが定説だから、「厳然たる事実」でもなんでもない。
皇族の一人としては神話だろうが伝説だろうが、それを根拠としなきゃならんというリクツは分かるんだが、「神話」が根拠になるなら、そもそも皇統の始まりは天照大神(アマテラスオオミカミ)にまで遡れるんだよね。国譲りを受けた瓊々杵尊(ニニギノミコト)は天照大神の「天孫」ってことになってんだから。天皇家、もともと女系じゃないの(もっとも、天照大神は男だという説を唱える人もあるが)。それにもしも邪馬台国が大和朝廷の前身だとしたら、この国は女王卑弥呼および壱与によって治められていたわけだ。まさしく日本は「事実」として「女系国家」だったってことになるんだよね。
もう一つ、三笠宮様の根拠をどのネット配信でも三つまでしか紹介してないけど、実は四つ目があって、これが「『側室』を娶る」となってんだよね。うわあ、「皇太子に女を世話しろ」って主張する皇族。こんな意見は確かに「プライベート」だけに留めてもらいたいものだけれど、これがさあ、三笠宮様の更に次の発言、「陛下や皇太子様は、御自分達の家系の事ですから御自身で、発言される事はお出来になりません」と合わせて考えると、まるで自分が「天皇陛下や皇太子殿下の代わりに本心を代弁している」と主張しているように聞こえちゃうんだよね。つまり、「皇太子様が、雅子様以外に妃を欲しがってる」ってね。
本当にそうか? あの、雅子様のためについ宮内庁批判とも取れる発言をしてしまった皇太子様が、他に側室がほしいと思っていると? 断言するが、そんなことは絶対に「ありえねー」ことだろう。
もしもこの件について三笠宮様に「皇太子様自身が側室をほしがっているのか?」と問い質してみれば、「そんなことは言っていない」と否定するかもしれない。しかし否定をするのなら、最初からこんな馬鹿げたことを口にすべきではないのだ。皇太子様が別に側室のことなど考えていないのなら、これは三笠宮様のとんだ勇み足、いや、雅子様のご心中などを察するなら、人格を疑われても仕方のない発言である。
これはもう、三笠宮様が勝手に妄想したことを垂れ流しただけだと考えざるをえない。一般には市販されない小雑誌に寄稿したものとは言え、こうして内容が出回ってしまうことは三笠宮様にだって予測がついたはずだ。ご自身、政治的発言ができないと分かってるんだったら、それこそ「沈黙」を守るくらいの自制心が、この方にはなかったのだろうか。なかったと判断するしかない。
仮に、万が一、億が一、皇太子様が「側室」を欲しがっていたとしても、皇太子様が沈黙を守っているのに、それを勝手に代弁できる立場の者なんて、この世のどこにも存在しない。たとえそれが皇族であってもだ。
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11月03日(木)
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