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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■巨匠たちの幻の映画……12時間連続映画三昧。
 朝から百道の福岡市総合図書館まで出かけていって、まる一日「巨匠たちの幻の映画〜東京国立近代美術館フィルムセンター・コレクション〜」を見る。しげを誘ったのだが、昨日の疲れが残っているので、今日はゆっくり休むとのことだった。
 どんたくにお客を取られているのか、福岡タワーの周辺、休日なのに人かげ自体が少ない。図書館のビデオセンターは映画館というより劇場の作りで、舞台上、スクリーンまでに奥行きがある。けれどだからと言って画面が小さい、という印象はないので、映画上映施設としてはそう悪くはない。今時、椅子が固いのが少々難だけれど。
 ラインナップは清水宏監督のメロドラマ『泣き濡れた春の女よ』、五所平之助監督の『新雪』『五重塔』、木下恵介監督の『カルメン故郷に帰る 白黒版』。いずれもフィルムは失われていたと思われていたものが最近になって発見されたもので、日本映画ファンならば垂涎のラインナップである。
 こういう古い作品を若い人にも見てもらいたい、ということで催されているのだろうが、如何せん、客席はご老人ばかりである。それはそれで仕方がないのだが、せめて大学の映画研究サークルの連中が2、3人は来ているとか、そういう状態があればよかったのだが。ともかく若い人の大半が「古い作品」というだけで映画を敬遠してしまうのが哀しくてたまらない。『キネマ旬報』でいつぞや立川志らくさんが「若い女の子に『東京物語』を見せたらボロボロ泣いた」という話が載っていたが、若い人から感受性が全く失われてしまっているわけではないのだ。ちょっとしたきっかけさえあれば、若い人だって古い映画を見るし、文学もSFもミステリーも読むのである。オトナに若い人のためにそういう機会を与える余裕がなくなってしまっていることが、文化果つる国となっている一番の原因なのだろうなあと溜め息をつく。
 今日見た4本の中では、『五重塔』が圧倒的に面白い。幸田露伴原作の小品だが、花柳章太郎、柳永二郎の二人の大工の折衝が、震えるような緊迫感でもって描かれている。これがずっとロシアで眠っていたのだから、これまで生きててよかったとつくづく思う。

 四本見終わって博多駅まで戻ってきたのが午後8時。
 それからしげと待ち合わせて、今度はキャナルシティAMCで『ゴッド・ディーバ』を見る。しげ、昼寝るつもりがついついパソコンなどで時間を潰してしまったとか。だったら一緒に映画見に来ればよかったのに。
 映画はうーん、結局「ホルス」って何がしたかったんだ? と頭の上に疑問符がピコピコと飛び交っている。原作もよう知らんし、これはなかなか批評のしようがなくて、今からちょっと困っているのであった。

 さすがに一日5本の映画のハシゴはつらく、そのまま熟睡。夢も多分見ず。
05月04日(火)
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