ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491682hit]

■入院日記8/エニシング・ゴーズ
 今日から、朝の運動療法の開始。
 けれど、看護師さんに時間を教わっていなかったので、いつどこに集合すればいいか分らない。そのうちに連絡が来るだろうと、ベッドに寝っころがってのほほんとしていたら、8時半になって看護師さんが「藤原さん、運動療法のこと忘れちゃってたでしょ!」とプンプンしながら呼びに来た。
 忘れてません、教わってないんです。でも、自分から聞きに行けばいいものをサボってたのだから、文句は言えない。
 公園一周、500メートルを5周。これをだいたい25分で歩く。久しぶりに体を動かす感覚で、すぐに汗が出る。これが気持ちよくなっていけば、運動療法は成功なのだが、すぐに息が上がる感じで、初めからうまくはいかない。普段はしげに合わせてヨチヨチ歩いているから、からだがすっかりなまっているのである。こんなところでも文字通りしげは足を引っ張っているのだな。


 テレビで、ライバルに客を取られて流行らなくなった葬儀屋が、自分の伯母さんを殺して葬儀を出そうとした、というニュース。
 事件は昨年10月、福島県平田村で起きた。無職で一人暮らしの志賀千代子さん(71)が、頭部などをゴルフクラブで殴られ殺害されていた。逮捕されたのが志賀さんのおいで、会社役員の高橋信彦容疑者(42)。「(葬儀業の)自分の会社に仕事がなかったので、おばを殺せば葬儀を出せると思った」などと供述しているという。
 高橋容疑者は、「おばは食事の面倒をみてくれ、神様のような人。殺害は(犯行の)前日に思い付いた」などと話しているとのこと。だったらなぜ殺すかな。他人を殺すんじゃなくて自分の伯母さんならきっと葬儀をウチで出してくれるだろう、という腹積もりだったということか。
 ……って、これがうまくいったら親戚次々と殺して行くつもりだったんかい、こいつは。まあやっぱりどこかがイカレていたのであろう。
 こういう事件が実際に起きてしまうと、推理作家も困ってしまうだろう。小説にこんな犯罪者を描いたら、絶対に「リアリティがない。そんなバカな動機で殺人を犯すものなんかおらん。客を嘗めるな」と読者からブーイングが起こることは必至だからである。山本弘さんの『神は沈黙せず』にも加古沢黎というトンデモな動機で「犯罪」を犯す人物が登場していて、読んだときに「こんなアホが現実におるか」と思ったものだったが、全く事実は小説よりも奇なりである。現実のバカは小説のようにリアリティがなくて、底抜けの底が更に抜けているから、どんなバカなことをやらかすかわからない。
 基本的にリアル志向の強いミステリにおいては、荒唐無稽な殺人方法、というものはあっても、荒唐無稽な動機、というものはあまり描かれてこなかったが(泡坂妻夫には「意外な動機」の作品が非常に多い)、そういうものをいろいろ夢想してみるのも面白いかもしれない。もう何でもアリだな。


 消灯後、テレビをコッソリ点けて『乱歩R』。今回は『白髪鬼』で、原作に明智は出て来ない。「明智小五郎三代目」という設定は何だかなあ、なんだが、人間心理の闇を描こうとする姿勢、現代を舞台にしていながら、光と影のコントラストを駆使して頽廃的な戦前のムードを漂わせようとしている映像造りなど、なかなかに凝っていて、結構面白い。これで役者の演技がよければねえ(^_^;)。


 『爆笑問題のススメ』に唐沢俊一さんが出演。現在の『トリビアの泉』に一言、と言われて、ボードに「ビビる大木、へぇボタン押しすぎ」と書いてたのには思わず笑いそうになった。パネラーがイマイチ盛り上げてないのがあの番組のネックになってるんだよなあ。
 中学時代からの一行知識収集ノートや、古本コレクションの一部などを紹介されていたが、お話の内容はまあ、これまでの著書に書かれていたことの繰り返し。
 「A級のものは後世に残るが、B級のものは残らない。そのB級のものを残していきたい」という趣旨で、その基本姿勢には大いに賛同したいのだが、世に氾濫するモロモロのものをA級とB級という言葉でカテゴライズすることには昔から違和感を覚えていた。B級はどこまで行ってもB級、というヒクツな印象を与えてしまうからである。

[5]続きを読む

02月09日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る