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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■誰が痩せるって?/映画『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』/DVD『Manie-Manie 迷宮物語』ほか
しげがダイエットを始めた。
ちょっと前から、食事を勧めてもあまり食べようとしなかったが、公演に向けて動きをスリムにしたいらしい。意志の弱いしげにそんな奇跡が可能なものか分らないが、生暖かく見守ってあげましょ。
今日もちょっとだけ雨。
気乗りのしないしげを引っ張って、天神東宝へ。
昼飯をまず食べようと、こないだできたばかりの麻婆豆腐の店に入ろうとしたら、もう潰れている。作ったばかりの会員カードの意味がなかったな。
映画『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』。
公開二日目だけれど、最終回であるせいか、そんなに混んではいない。
親子連れ以外にもカップルや若いにーちゃんどうしとか、ご老人がお一人でとか、「なんで『ドラえもん』に?」と疑問に思う人たちも今日は目立つ。
もちろん我々夫婦も端から見ればヘンなカップルだろう。
まずは『PA-Pa-pa ザ☆ムービー パーマン』。
これがもう、原作をツギハギしたシロモノで、その、つまんないことと言ったら。声優が昔のままなんだけれど、1号の三輪勝恵や2号の大竹宏はともかく、さすがにパー子の増山江威子の声、衰えが目立っている。新キャストは魔土災炎を池田秀一が演じてるけど、これも全然ミスキャスト。いかにも添えもの映画って感じなのが悲しいなあ。
だもんで、本編の『ドラえもん』、あまり期待しないで見てたのだが、これがここ数年の不振がウソのような傑作。脚本がありきたりでも、作画と演出で見せられるって好例じゃなかろうか。渡辺歩監督、万歳!である。
1998年の『帰ってきたドラえもん』以来、「大長編よりも併映の短編の方が完成度が高い」とはよく言われていたものの、なぜか5年経っても6年経っても、渡辺監督の長編への抜擢はなく、もしかしたら芝山努監督、渡辺監督と仲が悪いのだろうか、とまで勘繰っていた。
芝山監督ももう還暦を越えている。当然、後継者を育成していかねばならない時期に来ているはずだ。今回の本編の作画監督担当は、そのための布石ではなかろうか。そして、渡辺監督の本領が、作画と演出の両方を担当してこそだということは、今回「演出のみ」の『パーマン』がダメダメだったことからも判明していることだろう。
来年はぜひ渡辺監督に作画だけでなく、演出まで担当してもらいたい。
今回の成功の理由はいろいろ挙げられようが、原作の『台風のフー子』をベースにして、藤子・F・不二雄の世界観を逸脱しないように留意したこと、ディテールの作画に特に気を配ったことの効果が大きいと思われる。
どこでもドアを通りぬけた瞬間に、気圧が変化したんじゃないかと感じさせるような風の表現、のび太の風に細かくなびく前髪、しずかちゃんの「この子には確かに骨格と筋肉がある!」と実感できる微妙な仕草、キャラクターの心情に合わせて変化するアングル、ここまで細部に拘った『ドラえもん』は劇場版シリーズの中でも初めてだろう。
特筆したいのは、悪霊ウランダーに憑依されたスネ夫の悪辣非道な演技。狂気を孕んでいることが如実に伝わってくる歪んだ目と口、その作画も圧倒的なのだが、その兇悪さを弥増しているのが肝付兼太さん一世一代の名演技!
悪役に回ったとは言っても、やっぱりスネ夫はスネ夫なんで、怖くなりすぎないように、ところどころギャグを入れてはいるのが、それでも小さなお子さんにはちょっとトラウマになってしまいそうなほど。
まあ、『風の村』の描写ががなんだかどこかで見たことあるような気がするのはご愛嬌(^_^;)。
ところが、映画館を出て、「今日のはよくなかった?」としげに聞いたら、もう吐き捨てるように「つまんない」のヒトコト。
「藤本さんの原作の味わい、守ってると思うけど?」と言っても、「これまでの映画の使い回しばかりじゃん」。
更には、
「のび太、なんであんなにすぐにフー子に感情移入するの? なにかそういう出来事でもあった?」
「雪山で遭難して助けられるってパターン、どれだけ繰り返されてきたと思うの?」
「マフーガを倒すのに逆向きに回ればいいって、どういうリクツ? 何の『逆回り』なの?」
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03月09日(日)
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