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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■病気はハンデじゃないってば/映画『スパイダーマン』/『ミステリー民俗学者 八雲樹』1巻(金成陽三郎・山口譲司)ほか
 どれくらいブスかというと、往年の『スター・ウォーズ』のレイア姫並かな(主観はあるかもしれんが、結構この手の感想は多いようだね)。これだけで既に「なんでこの程度のブス助けるために躍起になるのかスパイダーマン」という突っ込みができますね。
 ピーターがだんだん蜘蛛の能力を身につけていく描写にもどんどん突っ込み入れられるな。壁を這い登るのはいいけど、どう見ても重力が下じゃなくて壁の方にかかってるぞ(壁を横にして撮影してるんだから当たり前だけど)とか。糸を出そうとして「シャザーム」とかなんとか呪文唱えるあたりもギャグだしなあ(やっぱこれ『大魔王シャザーン』がらみ?)。笑えないけど。
 いや、一番笑えるのはグリーンゴブリン。
 正義と悪の二重人格に引き裂かれて鏡の前で会話するシーンなんか抱腹もの。ジキルとハイドを一人二役の演技で見せてるわけだけど、これが、落語で八つぁん熊さんを演じ分けてるのと変わんねーんだ(^_^;)。で、いつの間にか鏡の中のゴブリンがモトの人格から独立していっちゃうってのも定番のオチ。これを演じてるのがウィレム・デフォーでさ、悪に引きずられて苦悩する時の演技が『BODY』でマドンナに誘われて行こうかどうしようか悩んでる時とおんなじなのよ。やっぱり悪って気持ちいいことなのかね(^^)。

 やっぱりどんなにおカネ掛けて大作めかして見せても、アメコミのヒーローものの底なんてたいしたこっちゃないんだから、バカ映画見に行くノリで見たほうがいいんじゃないかなあ。


 マンガ、金成陽三郎原作・山口譲司漫画『ミステリー民俗学者 八雲樹(やくもいつき)/天狗伝説殺人事件』1巻(集英社/ヤングジャンプ・コミックス・580円)。
 オビに「『金田一少年の事件簿』を継承する本格推理漫画」とあるけれど、『金田一』って、「本格推理漫画」だったか?(^o^)
 もちろんこれは金成さんが途中まで『金田一』の原作書いてたことを受けてそう書いてるんだろうけど。でもこんな惹句、講談社が怒って来ないか。
 ……しかしレベル低いね。
 一応ミステリーのセオリーに従って、ネタバレはしないけどよ、第1巻だってのにこのトリックのチャチさは何なんだよ。
 いや、ミステリーとして駄作ってだけじゃなく、物語の作り方からして読者をナメてんじゃないか。犯人がそこまで被害者に対して殺意を抱いたのなら、こんな回りくどい計画殺人なんて立てないで、その場で衝動的に殺しちゃうんじゃないのか? 根本的にドラマってものが解ってないんだな、原作者。
 探偵役を民俗学者に設定しておきながら、その知識が殆どデタラメってのもどういうわけだ。あまりにヒドイので、解説で小松和彦が「正しい」民俗学的知識を披露しているくらいだ(^o^)。
 青年向け漫画だからなのか、ベッドシーンなんかもあるけど、これもとってつけたようでかえって白ける。
 いいとこ全然無いってのに、オビにまた「青年漫画界を騒然とさせた傑作」って……(-_-;)。騒然とはしたのかもね、あまりにヒドくて。……あ、絵もなんだか一昔前のエロ劇画にちょくちょく見かけたようなバタ臭い感じで、ヘタクソです。


 マンガ、加藤四季『お嬢様と私 ―たなぼた中国恋愛絵巻』2巻(白泉社/ジェッツコミックス・760円)。
 後書きを読んで、しげが感心したようにつぶやく。「加藤さん、カイシャ勤めしてるんだ!」。
 なるほど、「会社勤めをしている私にとってまんがかきは大切なは心のオアシスとストレス」なんてことが書いてある。オアシスとストレスじゃ逆じゃん、と思いながら、その実感のこもった表現に苦笑(^_^;)。
 二足のワラジ履いてる漫画家さんと言うのも決して珍しくはない。
 漫画で芽が出なかったときの「保険」のために、そうそう簡単に仕事をやめたりはできないのかもしれない。
 けれども漫画家の仕事って、世間一般の人が軽く考えてるほど、片手間でできるものではないのだ。“パンピー”はよう、漫画に対するイメージって、遊びの延長くらいにしか考えてないからさあ、「好きなことやってておカネがもらえるんだからいいよねえ」とか簡単に抜かしやがるんだよなあ、作者に面と向かって。

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05月31日(金)
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