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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■祝! 退院!/映画『RED SHADOW 赤影』
でもなあ、ここが脚本上の一番の手抜きなんだよねえ。要するに復讐のために赤影が立ち上がるわけだけど、これ、モロ山田風太郎の『伊賀忍法帖』のパクリじゃん? しかもこの後、赤影の心は新登場のヒロイン、琴姫(奥菜恵)に移っちゃうから、あくまでストイックに敵を倒し続けた『伊賀』の笛吹城太郎とは雲泥の差、「キサマ、そんなに簡単に飛鳥のこと忘れていいのかよ!」って石投げつけてやりたくなるのだ。
つまり、ダブルヒロインを上手く並立できないライターが、ええい、面倒臭い、片方殺しちゃえって安易な手に逃げちゃっただけなんだよ。
あのな、どうせ「定番」な展開でやるならな、石川賢のマンガ『虚無戦記MIROKU』で、主人公の弥勒が、敵の毒にやられた夜叉姫を助けるために、解毒の方法を敵から聞き出すために戦ったみたいにさ、「後何日のうちに助けないと愛する者の命がない」って時限つきの展開にしろよ。その方がずっと緊張感が生まれるだろう。脚本の初歩だぞ、こんなの。
ヒロインを二人とも生かしておいて、その間で揺れる赤影と二人の女、それぞれの心を描いた方が、より緊張感が増すってもんだ。
さもなければ、一切そういう恋愛沙汰はカット、アクションとギャグだけで押し進めるべし。中途半端が一番始末に悪い。
もう一つ、ここでの大きな失敗は、隕石から作られた「無敵の鋼」(これも『ルパン三世』五右衛門の刀「流星」のパクリだね。実際の韻鉄は使いものにならんのが殆どだそうな)、これが敵の根来に奪われるんだけど、それを後の展開で全く生かさないんだよなあ。溶かして鋳直して頭領が身に着ける、くらいのことすりゃいいじゃないか。
この根来甚斎も馬鹿でよ、雇い主の竹之内基章(陣内孝則)の「琴姫を殺さば所領を遣わす」とのカラ約束にだまされて、琴姫さらった後であっさり殺されてやんの。……何か策を講じろよ、仮にも忍者だろ?
なにがヒドイって、ここで根来が全滅しちゃうんで、赤影たちとの忍者同士のラストバトルが一切描かれないってことなんだよねえ。つまり、「目玉」がないのよ、この映画。
ホントに馬鹿。
また、昔のテレビドラマの設定を中途半端に流用してるところがふざけてるんだよなあ。「赤影参上」「大丈夫」のセリフも使いどころ間違えてるとしか言いようがないし、白影の飛行凧、わずか数カットしか登場しないぞ。
映画の、というよりドラマツルギーの基本ってものをよ、一から勉強しなおせや、このサルどもが。
傲慢なことはあまり言いたかないけどよ、多分この映画見た10人中9人がこう思ったんじゃないか。「オレだってこの十倍は面白い脚本書けるぞ」って。
それにしても、脚本、演出もクソだったけど、特に「役者不在」を感じさせる映画だった。今時のナンパな若い俳優に緊迫感のあるドラマ演技が出来ないのは仕方ないにしてもさ、もう少しマシな配役を考えられなかったのかねえ。
赤影と青影の大バカ二人組が、飛鳥を間に挟んで掛け合い漫才みたいなやりとりをするんだったら、あの二人、爆笑問題をキャスティングしときゃよかったのである。太田光が赤影で、田中裕二が青影。いや、マジだよ、これ。で、愁嘆場は一切カットして全編ギャグだけで突っ走る。それくらいのアイデア出してみろよ。このドシロウトどもが。
まあ、こんなクソ見るくらいなら昔の『赤影』を見ましょう。『大忍術映画ワタリ』でもいいです。部屋で寝転んで山田風太郎読んでた方がなんぼかマシです。
そう言えば『魔界転生』、また映画化計画が持ち上がってるってなあ。だから殺陣が出来る役者が今残ってるかってんだよ。前の映画化だって、若山富三郎の殺陣でなんとか持ってた映画だぞ。
帰宅するとしげはとても言葉には出来ないような恥ずかしい格好で寝ている。
溜まっていたメールの返事などを書いたりしていたらもう午前3時。
久しぶりの夜更かしさんでした。
08月24日(金)
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