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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『笑の大学』余燼/映画『80デイズ』
 最近、彼女の株は我々の間でぐんぐん上がっていて、しげなどは次回公演の美術も頼めたら頼みたい、と言ってるほどなのだが、実際モデルを見てみると、簡素な中に機能とデザインの調和が取れていて、なかなか見事なものである。なるほど、プロを目指してるだけのことはあるなあ。会場のアクロスは円形舞台なので、その舞台構造を生かした袖幕の引き方も難しかろうと考えていたのだが、その問題点があるアイデアで美しくクリアーされていたのだ。全く感服。
 ただ、模型だとどうしても布の質感が分からないので、イメージイラストを描いてもらえればよかったか。実際にセッティングを担当するのは其ノ他君だから、その方がイメージを伝えやすいと思うのである。


 映画『80デイズ』、これまで何度も映像化されてきたジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』のリメイクであるが、ほぼジャッキー・チェン演じるパスパルトゥーが主役のアクション映画といってよく、ハリウッド製のジャッキー映画としては『ラッシュアワー』や『上海ヌーン』シリーズよりもアクション度において満足度は高い。なんたって後半に至るまで殆ど追っかけに次ぐ追っかけ、アクションに次ぐアクションなんだから、ジャッキーファンとしてはようやくハリウッド映画でもジャッキーの真骨頂を見せてくれた! と嬉しくなるばかりである。いやまさか、『酔拳』とまでリンクしてくるとはビックリ(ただし、ウォン・フェイフォンを演じるのはジャッキーではなく、サモ・ハン。……太り過ぎだって! よく動いてるけど)。
 どうして見るからに中国人であるジャッキーがフランス人であるパスパルトゥーを演じられるのかと疑問に思っていたのだが、フォッグ氏には「こう見えてもフランス人です」と正体を隠してウソをついていたのであった。って信じるなよフォッグ氏!(^_^;) 
 こういう無理矢理ギャグは好き嫌いが分かれるだろうが、エリック・アイドル主演の『ナンズ・オン・ザ・ラン』にも同様に、アイドルが「ぼくってインド人じゃなかったの!?」とショックを受ける無理矢理なギャグがあって、こういう“パイソン風”の笑いは大好きなのである。ジョン・クリーズがカメオ出演していたのは、監督のオマージュもあると見た。
 ただ、ジャッキーが前面に出た分だけ、原作のゴージャスな世界旅行記としての印象は薄れてしまっているので、原作ファンには不満かもしれない。ヨコハマにも立ち寄らないし、未見の方にご注意しておくが、あくまで「ジャッキー映画」を楽しむ感覚で見に行かれたらよろしかろう。


 作家の南條範夫氏が、10月30日に肺炎のため死去していたことが判明、享年96。
 この人についても書き出したらキリがない。映像化された作品がやはり親しみ深く、『武士道残酷物語』『元禄太平記』『月影兵庫』『からみ合い』などがすぐに思い浮かぶ。もっとも原作をかなり換骨奪胎したものが多いんだけど。
 近衛十四郎の『素浪人月影兵庫』が、あまりに原作とかけ離れた内容になってしまって、原作者からクレームがつき、途中から「顔は同じだけれども全くの別人」という設定で『素浪人花山大吉』というタイトルになったのは有名(このシリーズも今の若い人たちに見てもらいたいんだよなあ)。大衆作家に括られてはいても、社会派的な作品を数多く書いており、その映像化に関しても一家言があったのだと思われる。『元禄太平記』は数ある忠臣蔵小説の中でも、「敵方」である柳沢保明(後の吉保)を中心に描いた点で、私の最も好きな作品であった。ドラマの石坂浩二も酷薄でよかったなあ。

11月09日(火)
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