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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■水害という名の人災/DVD『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX/笑い男編』
 でも結局は、ブロックの高さ以上に水が入りこんできて、椅子が一台、スイッチを押さないのに勝手に高くなったり低くなったりするようになってしまった。椅子を守りきれなかった父の悔しがることったらないけれど、何を言っても仕方がないことではある。文句をつけるなら、こうなることが分っていて洪水対策を遅々として進めていなかった福岡市の行政の責任なのは火を見るよりも明らかなのだけれど、じゃあこれで心を入れ替えて護岸工事を進めるかというと、それはちょっと望み薄なのである。
 氾濫した御笠川って、河口付近が結構蛇行してるんだよね。これが流れを堰き止めてる原因にもなっている。で、昭和の遺物の埋立地が更に水の流れを抑えちゃってるんで、その手前のあたり、ちょうど博多駅近辺の土地が低くなってるあたりが一番の被害を受けることになるのだ。
 要するに川の流れを真っ直ぐにして、埋立地をとっぱらっちまえば川の氾濫防げるんだけれど、それをしない市の言い分は、「河口を広げるための下流の土地買収がうまくいかない」。
 当たり前だ。下流には寺やら老舗の商家や学校やら、先祖代々そこにいるって人も結構いるのである。中流の護岸工事で水はけをかえって悪くしといて、そのツケを下流の人たちに何とかさせようってコスイ魂胆の市政に誰が応じるものか。

 姉の話によれば伯父もさっきまで来ていたそうだが、もう帰ったとのこと。水が引いて、あとは道具の掃除などだけになったので、人出は要らんと見たのだろう。でも、店の外はヘドロが道路一面に広がっている。これをなんとかしないことには人が通れない。というより、そんなの無視して通ってる車がヘドロを撥ね散らしてくれるのだ。
 側溝が詰まっているので、まずはデッキブラシでゴシゴシこすって水が通るようにする。ホースで水を撒いて、ヘドロを溶かす(そのままでは重くて動かない)。ブラシでヘドロを側溝まで押しやって、穴に押しこむ。これの繰り返し。
 店の前だけを流しても仕方がないので、隣やまたその隣の店の前まで掃除しなけりゃならない。結局、店の内外含めてなんとか片付いたのは午後の3時過ぎ。
 その間、引っ切り無しに店には電話がかかってくる。ほとんど全部「店は開いとるとな?」というお客さんからの問い合わせなのだが、だんだん姉の機嫌が悪くなってくる。「店、開けられるわけなかろうもん!」。店の心配じゃなくて、自分が散髪できるかの心配だから、姉がイライラするのも分るが、今時の客なんてのはそんなものである。博多の人間も「客だから威張っていいんだ」と思いこんでる糞野郎ばかりになっちゃったんだなあ。

 帰り際、片付けのお礼というほどでもないが、水に漬かって売りに出せなくなったシャンプーとリンス、入浴剤をもらう。なんで床屋で入浴剤まであるのかヘンだったが、シャンプー・リンスとセットになってるらしい。
 フタはしっかり締まってたので、中に異常はないが、まあ今更お客さんに出せはしないから仕方がないね。


 3時を回った頃、「博多座」までタクシーで直行。
 もともと今日は朝から博多座に並んで、森光子の『放浪記』の公演チケットを買う予定だったのだが、この水害のせいで、すっかり遅れてしまった。ギリギリ整理券の配布に間に合うが、番号が776番(800番で今日の分は打ち切りである)。実際に券が買えるのは2時間後ということなので、その間に食事や買い物を済ますことにする。
 食事は中洲の「一蘭」で、久しぶりのラーメン。辛いだけでとんと美味くない店だが、七月限定で縮れ麺を出していたので食べてみる。辛さは注文できるので抑えめに。縮れ麺はスープが絡むので、辛口だとちとキツイのだ。細麺だと糸食ってるような気にしかなれないものが、これは美味い。限定品にせず定番にしてくれればいいのだが。
 それでもこの店の、両隣の仕切りと暖簾で職人さんの顔が見えないのは落ちつかない。しげは相手と顔を合わさないでいられるこの店などの方が安心できるようだが、私は逆である。別にヒトとヒトの触れ合いがどうのってんじゃなくてさ、姿が見えないと、ドンブリに指突っ込まれたりされててもわかんないじゃないの。まあそんなことはしてないだろうけど。

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07月19日(土)
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