ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491740hit]
■台風の日は病院で寝転んで/『偶然が残すもの 記憶鮮明U』(日渡早紀)ほか
でも、この「血のつながらない代理母への愛」について考えること、その人が「愛」ってもの自体をどの程度深く考察してるかって試金石になると思うんだよね。
「義理の母への愛」なら、『源氏物語』の昔からたくさん書かれている。モラリストは、だから光源氏だって許しゃしない。けれどこの話の中じゃおばさんはフリーなんだから不倫にゃならないんだよね。
つまり、障碍となるのは、「いったん、男がその女性のオナカを使って生まれでた」って事実だけなのだ。法的なことはさておく。道徳的には、さて、どこが悪いのかな?
私は基本的に「禁断の愛」なんてものはないと思っているから、こんなの全然オーケーなんだけどね。だいたい、「この愛はよくてこの愛はいけない」なんて線引きなんて、あるわけないやんけ。
同時収録の『BIRTH ―記憶鮮明V―』、こちらは第一作の「クローン人間に個性はあるのか?」というテーマを再び取り上げた珠玉の短編。もちろんあるに決まっているのだが。
ここで大事なことは、作者は「国家がクローン人間を勝手に作ったり殺したりする」ことに対しては怒りをもってそれを否定しているが、クローン人間自体に対しては大きな慈しみを持っているということだ。
クローン人間を規制したがる人間は多いが、結局そういうのって国家や宗教に洗脳されてるだけだから、「どこが悪いの?」と聞くと、「非人道的だから」とか抽象的なことしか言えないのである。人格自体を否定したした規制法のほうがよっぽど非人道的じゃないか。
国家も宗教も、自分たちに都合の悪い人間は排除しようとしているだけなのである。困ったことがあったからって、あまり「国に何とかしてもらおう」と考えないほうがいいんだよねえ。
昼食はサクラダイの尾頭付き、ほうれん草のじゃこ炒め、生揚げと鶏ミンチの煮物、みかんの寒天。なかなか豪勢である。
同室のお隣りさん、今日は検査で絶食しなければならないとかで、「こういう時に限って美味そうなのが」と、悔しそう。
あまり悔しかったのか、糖尿病教室をサボっていた。
昨日と比べると、ほかにも来てない人がいたり、初めだけ出ていて途中退席したりする人もいたけれど、全部の講義を受けないと退院が伸びちゃうのに、いいのかなあ。
夕食は更に豪勢で、豚もものマスタードソースがけ、ヤングコーンのグラッセ、茶そばサラダ、ほうれん草のおかか和え、パイナップル。冗談ではなく、これが病院食かと言いたくなるほどうまい。文句なしに今までの料理の中で一番である。ウチに帰ったら作ってみよっと。
これだけの品数を揃えてもカロリーコントロールができるのだ。料理はやはり工夫次第。
夕方6時から、シンエイ動画のアニメ『ジャングルはいつもはれのちグゥ』、初めて見る。
『クレヨンしんちゃん メイド・イン・埼玉』の水島努監督だから、そんなにひどい出来じゃなかろうと思っていたが、これは掛け値なしの傑作。今年の新作テレビアニメの中じゃ文句なく一番だ。オープニングからしてめちゃ楽しい。
今回のエピソード、『エアポート21』ってタイトルがジェット機の轟音とともに斜体ロゴで立ちあがってくるのは映画『大空港(エアポート)』シリーズか日本のテレビドラマの『大空港』か。
原作にもあるハレたちの都会への引越し話なんだけれども、原作をそう改変しているわけでもないのに、ギャグのノリのいいこと。
圧巻なのは、村長役の玄田哲章さん歌うミュージカル『さよならジャングル』。アニメファンなら『クレしん』のテーマソング『飛べ飛べおねいさん』や、『御先祖様万々歳』の室戸文明のテーマなどで、玄田さんの歌唱力は先刻ご承知であろう。もうバカを絵に描いたような(絵なんだけど)村長と村人たちとポクテや満田たちの踊りはとってもファナチック。
後半もこのバカなイキオイは止まらない。
グゥに飛行機を破壊されるのではないかと怯えるハレ、姿を変えて出没し、ハレ“だけ”を恐怖にたたきこむグゥ、呑気な母さん(笑)、『トワイライトゾーン/2万フィートの悪夢』(リチャード・マシスンですな)のパロディも交えて、一気呵成にラストへなだれこむ。
[5]続きを読む
08月21日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る