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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■この程度のことならまだ自由にモノが言えるとは思うが/映画『タッチ』
 天皇家に対して好意的な感情を抱いている国民が多いのは、その発言一つを取ってみても、自由が制限、あるいは剥奪された状態であるにもかかわらず、「象徴」としての立場を弁えて、礼節を守り続けていらっしゃる真摯さ、敬謙さによるものであろう。本心がどうかは分からないが、「皇室アルバム」で紹介される天皇家の皆様の一挙一動は、全て、日本人にとっての「理想の家族」のイメージとして機能しているのである。仮にあれが「虚構」であったとしても、その「虚構」を信じていたい国民はもう、大多数いるのである。
 うちの母親も生前、「天皇ご一家を批判する人もいるけど、殺伐とした世の中を見てると、ああいう人たちがいてくれてよかったって思えるんよ」と言っていた。三笠宮様は、「国民一人一人が、我が国を形成する『民草』の一員として、二六六五年の歴史と伝統に対しきちんと意見を持ち発言をして戴かなければ、いつの日か、『天皇』はいらないという議論に迄発展するでしょう」と書かれているが、今まさにその天皇家の存続を危機に陥れようとしているのが自分の発言だということに、三笠宮様は気付かれていない。
 三笠宮様の不穏当な発言はこれが初めてではない。だいたい、三笠宮様は皇族ではいらっしゃるけれども、「ヒゲの殿下」と揶揄されてる通り、いささか自由奔放にモノを言い過ぎる傾向がある。いやしくも皇族としての立場を自覚しているのなら、散々その「失言」を咎められてきた過去を思い返してみて、もうちょっと気をつけてもらいたいものなんだけどねえ、全然、懲りてないんだろうねえ(若い人は知らないだろうが、昔、「皇族があのように髭を生やすのはいかがなものか」と批判を受けたのだけれど、無視して生やし続けているということがあったのである。別に生やしたっていいと思うけど、「伝統」に基づくのならば、天皇、皇太子よりも偉そうに見える髭を生やすのは確かに「いかがなものか」ってことになるわな)。正直、女性天皇が容認されて、この方の皇位継承権がずっと後ろに回ってくれることを希望しないではいられない。
 それにしても、どのニュースも、三笠宮様の発言を“意図的に”改変し、情報操作してることについてどう思っているのかね。でも「これはヤバい」と判断して、削除したという事実自体が、「男系天皇」に固執しなければならない根拠の薄さを露呈しているとも言えるのである。世論も、「三笠宮様の人となりをご存知の人が多ければ」今回の発言は自然とスルーされちゃうでしょう。


 政治的なことは書くまい書くまいとしながら、つい書きたくなってしまう出来事がちょこちょこと出始めている。政治も確かに絡んでいるけれど、天皇家の問題とかは、日本文化をどう考えるかって問題と密接に絡んでるから、やっぱりいろいろと考えちゃうのだね。
 靖国神社の問題もまたまた喧しくなってきたけれども、中国の唐家璇(セン)国務委員が、小泉首相の靖国参拝について、またまた抗議を示したとのニュース。「中曽根内閣当時の後藤田正晴官房長官が、アジアの感情を配慮し、首相、官房長官、外相は参拝しないことを約束した」という、つい数年前までは口にしたこともなかった「紳士協定」を主張したって言うんだけれども、中国の欺瞞はかなり日本人の間に浸透して来ているので、「ああ、また中国が嘘八百を」と冷静に状況を判断できるようになっている人も増えていると思うのである。これも、小泉首相が曲がりなりにも「靖国参拝」を続けている結果だ。
 政策に問題はあっても、小泉首相が「政治家」だなあと思うのは、まさしくこの参拝を継続することで、「靖国問題を風化させない」現象を作り出していることだ。中曽根首相の時のようにいったん中止してしまえば、それはたとえ中国の内政干渉を腹立たしく思っている国民の間であっても、いつの間にか忘れられてしまうだろう。

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11月03日(木)
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