ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491678hit]
■『華氏911』余燼
第一問題は大統領のクビのすげ替えでどうにかなることではない。イラク戦争はブッシュが大統領にならずとも、確実に起こったろう。たとえ911以前にテロの危険がゴアに報告されていたとしても、やはり彼は動かなかったと断言できる。なぜなら、CIAやFBIから報告される「その手の」レポートは、彼らが職務を遂行していることを証明するために「定期的に」行われるもので、殆ど信憑性がないものと判断され、たいていは反古にされているからだ。で、実際に9割9分が根拠のないニセ情報である。それをテロリストたちは知っていたからこそ、911のテロは成功したのだ。問題は、そういうテロに対して無防備なシステムを作ったアメリカという国そのものにあるということにどうして気付かないか。
アメリカは思い上がったヤクザ国家でしかない。歴史上、侵略国家でなかったことなどない。自分がお山の大将、百獣の王だと思っているから、まさかネズミに食いつかれるとは思っていないし、食いつかれたらどんなに小さな敵でも激昂して踏み潰さずにはいられない。もしも、敵の姿が見えなくなれば、誰でもいいから敵に仕立てあげて潰してみせるくらいのことはする。ブッシュでなくともだ。
いや、そもそも日本人なら、朝鮮戦争で、ベトナム戦争で、「基地」として使われてきた歴史的過程を知っていれば、大統領が誰であろうと、アメリカは同じことをやり続けるのだということを理解していておかしくないはずなのに、なぜ今更ムーアの甘言にうかうかと乗せられるのか。
ムーアは決して「アメリカよ、これ以上戦争をするな」と言いたいわけではない。彼は戦争自体を否定などしていない。反戦主義者などではないのだ。よく映画を見ていれば分かることだが、彼は「もしもブッシュが真剣にビン・ラディンを追っていたら」ブッシュに対して「NO」とは言わなかった、と主張しているのだ。これは、もし、空爆の標的がサウジアラビアであったなら、そこで「テロリストの巻き添えを食らって」サウジの無辜の民衆がいくら死のうと構わない、と言っているに等しい。もし、上院議員たちが自分の息子を兵士として送る署名にサインしたら、ムーアは果たしてどう反応したか? もちろん、サインする議員なんていないだろうと予測してそういう方法を取ったのは明白だが、もし何人かでもいたら、彼らに対してバンザイをしなければならなくなるのではないか? いや、一人だけ、戦場に自分の息子を送った上院議員がいたが、なぜかムーアは彼を取材しなかった。そりゃそうだ。そこで「あなたはエライ」とでも言おうものなら、自分が好戦家であることがバレるからである。アメリカが「正義の戦争」を行っていると納得すれば、ムーアはただちに「戦争賛成」を唱えるだろう。勘違いしてはいけない。ムーアもまた「バカでマヌケなアメリカ人」なのである。
結局ムーアは、「ブッシュ、テメエの戦争に俺たちを巻き込むな」と言ってるだけだから、我々だって、「ムーア、お前個人のリクツに日本人まで巻きこむな」と主張して何が悪かろうか。私が言いたいのは、アメリカを批判するなら、ムーアみたいな胡散臭いヤツの尻馬に乗らずに、「自分の言葉で」批判しろよ、ということなのである。
まあ、批判したって何が変わるわけでもないから悔しいんだけどな。その悔しさを「緩和」させてくれた気にさせてるだけだから、あの映画、ゴダールから馬鹿にされるんだよ。
コンテンツに書こうと思ってたこと、かなり吐き出しちゃったなあ。でもまだキチンと論証してない部分も多いけど。
そんなに文句があるなら、ヤフーの掲示板あたりに行って、自分の意見書きこんだらどうだ、とか言われることもあるのだが、私ゃ自分の意見を人に押しつける気は毛頭ないので、そういうことはしません。意見書きこんで流すだけならいいんだけど、ああいうとこって、必ず反論のレスつけなきゃ気がすまない御仁がいるからねえ。
[5]続きを読む
09月01日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る