ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491678hit]
■『華氏911』の真価
どっちにしろ、単調で退屈で、浅薄な情に訴えてる部分も鬱陶しくて、タランティーノが言うように、「映画として面白い」ってことは全然感じられなかった。なんだか『イノセンス』や『誰も知らない』がこれに負けたかと思うと、「映画のレベルが全然違うだろう!」と叫びたくもなるのである。
映画を見終わったあと、「なんでこんなのがパルム・ドール取るかなあ」とタメイキをついたら、しげが「タランティーノってバカ映画が好きだから選んだんじゃないの?」のと言ったので、ああ、そうか、私ゃまだこの映画を「マジメに」見てたのだなあと気づいた。
だいたい日本人はみんな一人の例外もなくアメリカさんに協力することで得ている石油の恩恵を受けて、「イラク人が何人死のうとアメリカ人の貧民が何人死のうが構わない」という生活を営んでいるのだ。本気で「反戦」を訴えるのなら、「石油および石油製品を一切使わない」生活をしてからでないと、何も言えないのではないか。当然、私にもブッシュを非難する資格はないのである(キライって思うくらいは許してほしいが)。
それはもちろん、アメリカで飢えもせずに「数々の石油製品に囲まれて」暮らしているムーア監督自身にも言えることなんで、なるほど、確かにこれは「バカが作った映画」には違いない。トンデモ映画として見た場合、『アルマゲドン』や『アンブレイカブル』もはだしで逃げ出すほどの大傑作だろう。もしかして、タランティーノはブッシュにではなくムーアに大笑いしながらこの映画を見たのか? 我々も、ムーアが「ブッシュのこんなとこが悪」と示すたびに大笑いすればいいのかもしれない。となると、小泉さんも見て笑えばよかったのにって気がしてくる。
でも、やっぱり上映時間が長いのは勘弁してもらいたいね。政治に関心ない人には特に「はあ、そうですか。でもできればこういう話は15分くらいで短くまとめてほしいですね」で終わる映画である。コンテンツにもっと詳しく感想を書くかどうか、悩むところだ。
ムーア監督は、ニューヨークで29日に行われた50万人規模(主催者発表)の「反ブッシュ」デモにも参加したとか。もしブッシュが来る大統領選挙で再選を果たせなかったとしても、この程度のプロパガンダ映画に乗せられて反戦を訴える国なら、またぞろ宣伝のうまい大統領の手によって、コロッと戦争しかける国に変わってしまうだろう。全く、バカには勝てんよなあ。
08月30日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る