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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『イノセンス』カンヌ上映。
今日買ってきたDVD『丹下左膳余話 百万両の壷』と『キル・ビルvol.1』を続けて見る。『百万両』は、GHQによってカットされていた立ち回りのシーン20秒が復活した、今のところの最長版。見てみりゃ分かるが、なんでこの程度のシーンがカットされたのかわけが解らない。ともかく「刀を抜いたらダメ」ってことだったんだろう、としか言いようがない。この程度の描写を残酷だと認定し、またこういうのを見せなければ日本人を善導できるなんて思いこんで占領政策を行なってきたアメリカという国がいかに小児的で歪んだ国か。けどアメリカ国内でそれを批判してるのがマイケル・ムーアのようなまたコドモだっていうのが、なんかもう、ナントカとナントカの絡み合いみたいで、ウンザリなんである。
昨日、カンヌ映画祭で、押井守監督の『イノセンス』がコンペティション上映。でも日本のテレビ局はキムタクがどうのばかり報道してて、こっちの方には見向きもしてないなあ(そちらはそちらで、彼にばかりスポットが浴びていて、出演している映画『2046』の紹介もおざなりだ。どんな筋で、誰が監督で、共演者は誰か、あなたはご存知ですか?)。……タランティーノ審査委員長、世間の評判に流されないで、しっかりたのんまっせ。
読売新聞が『イノセンス』について、「近未来の日本を舞台にしたSFアニメで、この日の上映には、押井守監督も出席。上映終了とともに立ち上がった観客から大きな拍手を送られ、『理解してもらえるか不安だったが、かなりいい反応でほっとしている』と笑顔で語った」と紹介しているけれども、どの程度のものだったんだろうか。カンヌの審査は必ずしもスタンディング・オベーションには左右されないけれども、「大きな拍手」と「拍手鳴り止まず」とではニュアンスがかなり違うからなあ。
情報があまりに少ないので、カンヌ映画祭の公式ページまで覗いてみたが(ネットの一番ありがたいことは、海外の情報まで即座に散策できることである)、ありましたありました。作品解説と、押井監督のインタビュー記事が。
一応、全文を紹介するけれども、全部を翻訳するのはしんどいので、押井監督のインタビュー部分だけに留めます。
> Competition: "Innocence" by Mamoru Oshii
In addition to Shrek 2 that screened early in the Festival, the second animated feature in competition is presented today, Innocence by Mamoru Oshii. The Japanese director spent nine years making this follow-up to his cult hit Ghost in the Shell. The characters are the same but the political tone has given way to a philosophical one, a hymn to life. Furthermore, the technical rendering is much more formal, mixing 2D, 3D and computer graphics.
簡単に要約すると、「『攻殻機動隊』の続編だけれども、内容はより哲学的になっていて、2D、3D、コンピューター・グラフィックスが混じってる」ってとこですかね。ここはただの作品解説。
> It is the year 2032 and the line between humans and machines has been blurred almost beyond distinction. Humans have forgotten that they are human and those that are left coexist with cyborgs (human spirits inhabiting entirely mechanized bodies). Batou is one of them. His body is artificial: the only remnants left of his humanity are traces of his brain ・and the memories of a woman called The Major. He is investigating a murder case involving malfunctioning androids that went berserk.
ストーリー紹介。
「人間は自分たちが人間であったことを忘れてしまっていた」というあたりが、欧米人にはどんな風に受け止められるか、というのが気になるね。アシモフの『アンドリュー(なんたらかんた)』(『バイセンテニエルマン』)も結局『ピノキオ』だったし、人間とロボットとの確執を描いても、結局は「人間様が上」な感覚から欧米人は脱却できないのである。人間が人間であろうとすることなんて、夢を見ているようなものだって発想で一貫して映画を作ってきた押井監督の思想は、結構反発を食らうような心配もあるのだけれど。
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05月21日(金)
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