ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■03 死闘
軽く床に立った砕蜂が動きを止める。その背中で羽織がふわりと揺れ、落ち着いた。大前田が肩で息をつく。その周囲にばさばさと書類が舞い落ちた。
「何故知っている」
「勇音と立ち話で聞いたんすよ……言っておきますけど、勇音が会食で相談する内容を俺に話したわけじゃないっすよ。ただ、その面子だとどう考えても悪巧み以外ありえねえじゃないっすか」
「貴様、その不遜な態度は何だ」
「いつものことでしょう」
「それはそうだな……言っておくが、女性死神協会は女性死神達の生活を守り」
「その向上と発展を担うんっすよね、分かってます分かってますって現実にはどうだか知りませんけどね」
「……うむ。気にかかる言い草だが、まあ、よい」
眉間に皺をよせたままではあったが、砕蜂から殺気が消える。そして大前田と砕蜂が同時に扉のところで突っ立ったままの三人を振り返った。
「どうしたお前達。副官ともあろうものがそんな間抜け面でどうする。もう少し引き締めろ」
「おう、待たせたか。悪ぃな。もう仕事は終えたから行くとすっか」
二番隊の二人は何事もなかったかのような口振りであっさりと言った。
あまり二番隊に来ることのない阿散井は呆然としている。二番隊とよく仕事を共にする吉良は慣れているのかただ苦笑いを顔に浮かべた。檜佐木は大きく溜息をついて、
「……何でそんな、いや、いい。いいですもう何でもいいです」
と額に手を当てた。そして、殺気まで出して格闘するのが日常なのか、と口の中で呟く。
檜佐木の言葉に、砕蜂も大前田も首を傾げた。大前田がけろりとした表情で、いつもこんなもんだぜ、と言う。砕蜂も横で頷く。
「気にするな。こいつは殺しても死なないゴキブリのような男だ」
「へえへえ、日常的にゴキブリのように扱われていればそうもなるでしょうよ」
散らばった書類を拾いながら大前田がどうでもよさげに呟く。相づちを打っていいものかどうか、檜佐木は疲労を感じつつ逡巡した。
「よし、では私は会食に行ってくる。戸締まりはしておけ」
「了解っす。で、みやげは青龍飯店の肉まんでいいんすね」
「肉まん十個とフカヒレまん十個だ」
「…………了解っす」
砕蜂に道を開けた三人の横を、彼女は軽やかに通り過ぎる。わずかに顔を向けると、鋭い眼光で睨むように檜佐木達を見た。
「しっかり奢ってもらえ。そしてその締まりのない顔をどうにかしろ」
「は、はあ」
悠々と遠ざかる二の字を見送ると、三人は執務室内の大前田を振り返る。大前田は机の上で書類を揃えると、処理済みの箱に放り投げてこちらに顔を向けた。よく見ると鼻先の皮がむけて赤くなっている。
「待たせたな。じゃあ行くか。今日は中華でいいな」
「もちろんっす。ありがとうございます!」
檜佐木は即答した。そして心の中でそっと、自分が九番隊に所属していることに感謝した。
えーと。二番隊の日常茶飯事ということで。
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11月03日(土)
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