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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「犬も食わねどチャーリーは笑う」


お嫁さんから、「お義母さんの若い頃、岸井ゆきのに似てますよね」と、生後三か月の長男(お嫁さんの夫)を抱っこする私の写真を観て、言われました。あら〜、あんなに可愛かったかしら♪と、元々ゆきのちゃんが好きな事もあり、気を良くした私。それ以降「娘がいたら、あんな感じかしら?」と、益々彼女のファンに。今回大いに妻側に肩入れして観ました。姑世代の私から観ると、まだまだ可愛い夫婦ですが、夫婦関係の核心を突いている部分も随所にあり、なかなか面白く観ました。監督は市井昌秀。

ホームセンターに勤める裕次郎(香取慎吾)と、コールセンターに勤める日和(岸井ゆきの)は、出会って7年、結婚して4年の夫婦。ペットはフクロウのチャーリーです。ある日同僚の若槻(井之脇海)や簑山さん(余貴美子)と、スマホで「旦那デスノート」を観ていた裕次郎は、そこで人気の投稿者チャーリーが、妻の日和である事を確信します。夫婦仲は良いと思っていた裕次郎は大ショックを受けます。

冒頭、休日の朝10時半ごろ、しっかりとした朝食を取る裕次郎が、「昼はキーマカレーがいいなぁ」と宣う。「えっ、ブランチじゃないの?」と答える日和ですが、譲らない裕次郎。こりゃデスノートに書くなと思うと、案の定(笑)。はっ?休みの日の昼に手作りキーマカレーって何なの?11時前に食べ終わって昼ご飯?妻も仕事しているのに?食べたいなら自分で作れよ。帰宅が妻より早いのに、チャーリーに餌もやらず。これも書くなと思っていたら、ビンゴ。夫は無自覚、妻には大問題な事柄を、あれこれ上手く描いています。

旦那デスノートの存在を知った頃は、私がもうその手の日常を、ガシガシ踏み越えていた時点で、わぁーいいなぁ、今の奥さんは、と羨ましかったなぁ。まぁ私も若い頃は、ママ友と「旦那デスノート」的な会話をして、憂さ晴らしをしていましたけどね。脳内にでっかいハンマーを所持してて、何度夫を頭の中で瀕死にしていたことか(!!!)。

私が憂いたのは、昭和に結婚した私と同じ憂鬱を、令和の今でも妻たちが引きずっている事です。システムと言う言葉が、揶揄のようにやたら出てきますが、結婚と言う制度は、法律的には一見平等なシステムですが、これが無事発令されることは、実際はほぼないです。概念としての結婚のシステムは、今も多くの妻には、負担が大きく出来ている。私の時代は、圧倒的でした。それを負担や不満とさえも、思ってはいけないと、押さえつけられていました。昔よりましだとは言え、今の妻たちは、母親世代の私たちを、引きずらなくっていいんだよ(きっぱり)。


結婚式のシーンで、神父さんが「健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、二人で支え合い・・・」と言う誓いの言葉を読み上げますが、これは年季の往った夫婦こそ、身に沁みます。うちの場合は「富める時」以外は経験済です。しかし支えるのは一方的に私。新婚の慌ただしさの疲労で発熱した私を残し、夫は麻雀へ。「四人でやるので、欠けると悪いから」(←実話)。乳飲み子の長男の育児の毎日に、また発熱した私を置いて、ゴルフへ一路の夫。「メンバー欠けると迷惑かけるから」(←実話)。もちろん、子供が病気でも平気で遊びに行き、妻子は常に優先順位最下層。謝罪一つなし。「俺が出掛けよと思うと病気になる。嫌がらせか?」と、捨て台詞を残して出掛ける(←実話)。そのくせ、徒歩15分くらいの自分の実家で、姑が具合が悪いと聞けば、一目散に駆け付ける。姑は一人暮らしではなく、舅がおりーの、義兄夫婦と同居で孫もおりーの、当時は未婚の義妹もおりーの。それでも駆け付ける。自分の家庭は病気の妻が、一人で乳幼児二人をみていても帰ってこないのに!

思い出すと涙が出ちゃうわ。こんなの氷山の一角です。あぁ、また脳内にハンマーが。何が言いたいかと言うと、妊娠・育児の時の夫の蛮行は、妻は絶対に忘れない。昨日の事のように覚えていると言う事です(私は他も全部覚えている)。


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09月25日(日)
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