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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ブラッククランズマン」

「グリーンブック」が白人目線だと、この作品の監督スパイク・リーが吠えていると聞き、早速検証(?)のため観てきました(笑)。うんうん、わかります。でも私はもっと過激に作ってんのかと想像していたので、意外と手控えてるなぁと言う感じ。最後の最後まで、この作品も大変面白かったです。
1970年代初頭のアメリカ。コロラドスプリングス署、初の黒人警官となったロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)。ある日白人至上主義の秘密結社団体KKKが、メンバー募集の広告を新聞に出しているのを見て、白人を装い電話をします。相手はすっかりロンを白人だと思い込み、面接の日が決まります。同僚のユダヤ人系のフリップ(アダム・ドライバー)を自分に仕立て、KKKでの面接は見事合格。こうして黒人と白人が合体して、潜入捜査すると言う、前代未聞の作戦が始まります。
予告編を観て、コメディ仕立てだと思っていましたが、確かに前半は毒のあるユーモアがたっぷり。その中にしっかり、黒人差別・偏見に対して、悪意や無意識ない交ぜになって、ロンを襲うシーンが出てきます。黒人犯罪者を、ロンの前でスラングを使い侮蔑する警官たち。あれは屈辱ですよ。ロンが部署変えを懇願するのも、無理はない。
手始めの潜入捜査は、黒人大学生が中心となっての、ブラックパンサーのリーダーを呼んでの講演。この講演内容が圧巻。フリックは「すごい」と表現しますが、虐げられた歴史の怨み辛みを晴らすのではなく、黒人は今のままで充分素晴らしい、胸を張って生きていける価値がある、それを邪魔するものは破壊しろと、自己肯定感を高く引き上げ、戦闘能力も上げる威力満開のもの。もう初っ端から、監督がヤル気満々なのがわかります(笑)。
大学生のリーダー、パトリス(ローラ・ハリアー)と知り合い、捜査と恋心の狭間に悩むロン。二人が酒場で踊るシーンは、懐かしの「ソウルトレイン」を思い出しました。私が思春期の頃は、この番組だったり、マイケルがジャクソンファイブからソロで曲を出したり、ディスコミュージック花盛りで、私が黒人に偏見がないのは、音楽が一端です。でも一番は、高校時代、倫社の先生がドラマの「ルーツ」を見ることを宿題に出した事。どうして黒人が奴隷として扱われるようになったのかが詳しく理解出来、今でもこの事は先生に感謝しています。差別・偏見を失くすには、文化と教育が大事と言う事ですね。
二人一役の白人・ロンは、KKKの武闘派フェリックスに怪しまれるも、リーダーの穏健派ウォルターの執り成しで、何とか無事仲間入りの日々を過ごします。まぁ電話だって、これ以降フリップが出ればいいと思うんですが、それじゃKKKをコケにする事が出来ないからか、以降も電話はロンが担当。ここは目をつぶろう。
最初は乗り気ではなかったフリップですが、「自分はユダヤ人である事の認識が薄かった。家庭の教育も宗教もだ。でもこの捜査を始めて、それではいけない、この捜査を成功させなくてはいけないと思っている」と、心境をロンに語ります。KKKは白人でもユダヤ人は否定。ラテン系やアジア人もです。ロンは電話中、フリックは潜入中に、何度も「汚いニガー」「ユダ公」など、自ら侮蔑の言葉を吐きます。これが本当に強烈に胸が痛む。痛ませるのを意図した、リーの演出だと思いました。私はこの作品で一番深く心に残ったのは、このフリップの台詞です。言われなき差別に直面したら、逃げるか戦うか、そこには、今までの人生が投影されるはずだから。私も戦います。
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03月24日(日)
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