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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「セトウツミ」
昨日この作品を観てきて、うちの24歳の三男に
「あんた、『セトウツミ』て、知ってるか?」と言うと、
「高校生の子が喋るだけの映画やろ?シュールなん?」
「ううん、あんたとY(三男の親友)が喋ってるみたいやった」
「ほぉ。アホな事ばっかり、喋ってるだけなんやな?」
そうそう(笑)。
二人とも、うちの息子かと思いました。ほとんど若い男の子二人が喋っているだけの映画です。それが、メッチャ面白い!場内笑いの渦の中、ペーソスもあり、お茶目で、大変好感の持てる作品です。 監督は大森立嗣。
とある大阪の高校二年生の同級生、瀬戸小吉(セト・菅田将暉)と内海想(ウツミ・池松壮亮)。お調子者で愛嬌のあるセトと、クールで低体温のウツミは対照的ですが、仲の良い二人。毎日川沿いで放課後の一時間を、ただ喋って過ごしています。
びっくりしますよ、新人の漫才師かと思いました(笑)。それも超有望株。会話に無理がなく、自然とボケ(セト)とツッコミ(ウツミ)になっている様子が、本当におかしい。正に「相方」と言う表現がぴったり。これが噂のブロマンスですか?(笑)。
内容は、しょうもない話ばっかりなんですが、本当に面白い。そして息子三人、かつて高校生だったもんを持つオカンとしては、リアリティ抜群の会話です。セトが「ほぉ、ほぉ!」と相槌打つんですが、うちの息子もそうです。お前はふくろうか?なんやねん!と、良く思うもん。ウツミがドヤ顔する時、煙草を吸う真似をするんですが、これもしょっちゅうです(笑)。これ大阪の子だけ?他の地方の子は、どうなんでしょう?
いくつかのエピソードが分かれて描かれていて、そこでの会話や回想場面で、少しずつ二人の背景が見えてくるようになっています。そして全てに、ほっこりするオチがあります。私は原作知らないのですが、ウツミは進学私立校の専願に落ちて、仕方なく中堅の公立高校に来たのかな?部活に汗を流すか、はしゃぐかの同級生が疎ましく、学校では浮いている。そして塾に行くための一時間を、毎日川べりで一人過ごすのが、日課でした。対するセトは、サッカー部で頑張っていたのに、嫌いな先輩を無視してフリーキックして、逆鱗に触れ退部。なかなか反骨心があるやん(笑)。そして時間潰しをしていたウツミの傍に、人懐こく侵入し、今に至る二人。
何故他の同級生と、対して変わらないセトを、ウツミが受け入れたのか?他の同級生のように、人の噂話をしないからじゃないでしょうか?セトの話しは主語が必ず「俺」。俺が誰を好きか嫌いか、俺のオカン、俺の部屋、俺の家のみーにゃん(猫)と、全部自分の事で、自分が何を思い何を感じるかと言う内容です。同級生を毛嫌いしているウツミには、好ましく映ったはずです。まぁ、子供っぽいからなんですがね(笑)。子供っぽいは、純粋に通じるものね。
酔っ払ってくだを巻くセトのオトンを、「あんた!、もう!」と言いながら、介抱して、家に連れて帰るセトのオカン。ウツミに見られて、恥ずかしくて堪らないセトですが、「ええ夫婦やん・・・」としみじみ言うウツミ。高校生が小馬鹿にせず、微笑ましい光景と受け取れるのは、この子が自分の家庭で、きっと屈託を抱えているからです。
対するセトは、あけすけに自分の環境を語るも、祖母は入院、祖父は認知症で徘徊、両親は離婚寸前、父親の仕事は立ち行かない(多分)と、なかなかに過酷。なのに全く圏外のいるように、ケロケロしている。セトはみーにゃんのせいで、親が離婚しそうと思っているけど、多分違うよ(笑)。しかしちょっとおバカなセトは、誰よりウツミの優しさ、大人な思考ができる事など、長所を愛しているのです。
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07月03日(日)
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