ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927759hit]
■「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」

う〜ん。まぁマッツ主演でなければ、パスした作品だったので、こんなもんかなぁ。コスプレものは内容がそそられれば観る程度なので、私の知識が薄いのも、あんまり面白くなかった一因でしょう。監督はニコライ・アーセル。本年度アカデミー賞外国映画賞候補作の、デンマーク作品です。ベルリン映画祭で、銀熊賞受賞作。
18世紀後半、英国王ジョージ3世の妹カロリーネ(アリシア・ヴィキャンデル)は、従兄弟のデンマーク王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスゴー)の元に嫁ぎます。芸術を愛し教養豊かな王と聞き、胸を弾ませていたカロリーヌですがですが、実際は精神を病んでおり、夫婦関係は冷え込む一方で、王妃はこの結婚に絶望しています。そんな時外遊先のドイツで、病状を悪化させたクリスチャンは、医師ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)を侍医として採用。デンマークに連れて帰ります。ストルーエンセは、自分に心酔するクリスチャンの心を掴み、やがては自分の思想である啓蒙思想を王に伝授。その様子に心を開いたカロリーヌとも、親しくなります。変化した王により政治は急速に改革。しかし、その影でストルーエンセと王妃は、不倫の関係となります。
まずこの不倫に、全然共感出来ないのが私的にバッテン。バカ王との関係に絶望していた王妃が、新しい改革に意欲を燃やすストルーエンセに惹かれるのはわかりますよ。でもストルーエンセが王妃に惹かれたのは、「若くて美しい」だけのように感じてしまってなぁ。セリフでも男とはみんなそんなもん的なセリフが出てきますが、それって野望を持った男にしては、ちょっと浅はか過ぎないか?それとマッツは50前、アリシアは20代半ばなので、画を観る度に若い女にトチ狂った中年男に見えてしまい、バッカみたい!と思ってしまうわけですよ。
しかし実際にカロリーヌはミドルティーンで嫁ぎ、23歳で病死しているので、カロリーヌに関してはアリシアで適役です。ストルーエンセの年齢がわからないので、この辺は史実通りかもしれません。
取りあえず、不倫は良しとしよう。しかしストルーエンセに全幅の信頼を寄せる王に対して、二人共罪悪感が皆無なのは、如何なものか?王が「自分はバカ扱いだ」と、王宮での孤独感の描き方は際立っており、対する王妃は、私の仕事は妻ではなく王妃とばかり、貫禄を増すのとは対照的です。宣伝では孤独な王妃となっていますが、実際王宮で一番孤独だったのは、私は王だと思います。
妻に「ママ」と呼びかける夫。実母は夭折しています。自分はあなたの母じゃない!と怒る彼女の気持ちはわかりますが、ストルーエンセの巧みな王への接し方を学ぶなどして、幾らでも夫婦和解の道はあったと思うけど、彼女も若かったんでしょうね。自分の辛さしか見えなかった。
そのうちカロリーヌは妊娠。しかし王とは長い事セックスレス。生みたいと言い張る彼女に、あろう事か、ストルーエンセは王を再び閨に誘うように進言します。えぇぇ!王を騙して王の子として産むってか?その直後、「私によらないで。夫の匂いがするから」と涙ながらにストルーエンセに言うカロリーヌに、お前、もっと別のセリフがあるだろうが!と血圧が上がりそうになる私。その後、生まれた娘が自分の子か懐疑的な王が、娘をあやそうとすると、触らないで!と王の頬を打つシーンに、呆然としました。
この王は決して悪い人ではありません。母性愛豊かな人が妻なら、政治的にはお飾りであっても、それなりに豊かな人生は送れた人です。私が痛感したのはここ。なので不義の子を生んだ呵責の念もへったくれもない王妃が、もう憎たらしくて。
[5]続きを読む
05月05日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る