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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ミレニアム2 火と戯れる女」&「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」


2と3と30分の休憩を挟んで、はしごしてきました。「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」の出来の良さに、待ち望んでいた続編公開ですが、う〜ん。「3」でかなり持ち直したものの、「2」は完全に「3」の繋ぎで、凡庸な出来でした。事前に知らなかったのですが、どうも監督がニールス・アンデル・オブレヴから、ダニエル・アルフレッドソンに代わったようです。物足りなさは残るものの、ノオミ・ラパス演じるリスベットの魅力は盤石で、それなりに色々感じる事は出来ました。

リスベット(ノオミ・ラパス)と共にヴァンゲルグ事件を解決したミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)は、晴れて「ミレニアム」誌に復帰します。新進の若手ジャーナリストが追う少女売春を記事にしようと決まった矢先、そのジャーナリストと恋人が殺されます。殺害場所には、リスベットの指紋のついた拳銃が残され、彼女が重要参考人として手配されます。リスベットの無実を信じるミカエルですが、人と信頼関係が結べないリスベットは、独自で真犯人を捜索します。そこには彼女の忌まわしい過去の秘密が、隠されていました。

膨大な原作なので、脚色が大変なのは、未読でも観ていてもわかります。それが今回は裏目に出て、いっぱい要素を詰め込みながら、スピートアップしているはずなのに、何故か画面は冗長に感じます。テンポが悪いんですね。次々展開するんですが、盛り上げ方に工夫が薄く、まるで壮大なダイジェスト版を見せられているようでした。

後半で前作に出てくる、リスベットの少女時代の秘密が明かされます。この辺も、もっと非情で突き刺さる感覚が欲しいところです。「3」でとある人物がリスベットの背景に対し、「まるでギリシャ悲劇のようだな」と語ります。本当にそう。なのに画面から受ける印象は、唐突に秘密が明かされる韓国ドラマや、昔の大映テレビのドラマです。うーん、もったいない!

退屈だなぁ〜と思って気がついたのですが、今回ラストまでリスベットとミカエルの接触はなし。スリリングな凸凹コンビぶりが魅力だった二人ですが、今回は一度メールして、あとはラストにやっとです。この辺も物足りなさに拍車をかける。まぁこれは原作通りでしょうから、仕方ないかなぁ。

と言う思いを残し、30分休憩ののち、スクリーンを変えて「3」です。

リスベットは九死に一生を得て、今は病院に収監されています。彼女の背景には、実はスウェーデンを揺るがす秘密が隠されており、お話は国家規模にまで発展します。

動きが少ない「3」の方が、俄然盛り上がりました。過去の社会的背景はスウェーデンのことなので、イマイチ実感には乏しいのですが、何とか咀嚼は出来ます。それより嬉しかったのが、「3」では作り手が何が言いたいのかが、実感出来た事です。原題の「女を嫌う男たち」でもわかるように、スウェーデンのDVや売春は、社会問題として重要課題なのでしょう。今作でもリスベットを初め、容赦なく女たちが殴られなぶり者にされます。そして権力を持った者は、死が目前の老人であろうとも、その力を手放さそうとせず、他人を威嚇し誇示し死守することのみに盲執するという、醜態を見せます。

しかしここでサブキャラたちが大活躍。誠実で患者の事を第一に考えるリスベットの男性主治医。リスベットの過去を知り、弁護士としての正義感に燃えるミカエルの妹。リスベットのために頑張る、多分引きこもり気味であったろうリスベットの友人のハッカー。そしてリスベットを静かに見守る元上司。職務に忠実で優秀な公安などを配置し、一人一人の市井の民の気慨が、国を変えて行くのだと描いています。


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10月03日(日)
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