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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「サマーウォーズ」

素晴らしい!観た映画友達の皆さんが、こぞって絶賛だったので、観てきました。昔ながらの大家族の絆を軸にしながら、バーチャルな仮想世界をふんだんに織り込んで心躍らせなてくれます。温故知新的な教訓も盛り込んでいますが、新しい家族の価値観もきちんと感じられ、古くて新しい、とっても素敵な作品です。
仮想世界「OZ」が、現実社会にも深く関わっている近未来が舞台。高校二年の健二(声・神木龍之介)は、優しく内気な少年ですが、天才的な数学の能力を持ち、残念ながら数学オリンピックも後一歩の所で及びませんでした。夏休み、友人の佐久間とともに、OZのメンテナンスのアルバイトをしています。そこへ憧れの夏希(声・桜庭ななみ)からアルバイトに誘われ、彼女の田舎である長野県の上田市について行きます。しかしそのアルバイトというのが、彼女の曾祖母・栄(富士純子)の誕生日に合わせ、夏希の婚約者になり済まして欲しいというもの。一度は断る健二ですが、何だかんだと丸めこまれ、彼女の大家族に紹介される羽目に。戸惑う中、寝付けなかった健二は、OZから送られてきたパスワードを解いて、送信します。翌朝、日本中の日常は大混乱していました。
アニメは実写版以上に登場人物のキャラ立ちが大切ですが、格々しっかり描きこまれています。特に夏希の一族郎党など、総勢30人近くはいるでしょうか?これが赤ちゃんから90歳まで、実にわかり易く描かれており、それぞれのキャラにしっかり息吹が吹き込まれており、その見事さにまず感心します。
文科系ならぬ理数系男子の健二。思わぬ濡れ衣をかけられた時などの、気弱で優しく、大人しい様子は全編変わりません。しかし陣内家の人々の濃密な家族愛に触れ合う内に芽生え始めた、大切な人達を守りたいと言う健二の「男気」は、負けが濃厚なここ一番の大勝負での「まだ負けてません!」という言葉で、きちんと実のったのがわかるのです。
「僕、一人っ子で父は単身赴任、母も働いていて、ご飯はいつも一人です。こんなにたくさんの家族でご飯食べる事なかったんで、とても嬉しかったです」という健二の言葉は、こんな時に礼を言ってる場合かい!と言う場面で、出てきます。しかし言わずにおられない健二の気持は、だからこそ観客にも深く届くのです。そしてその言葉をじっと聞いていた栄に、一番届くのです。
大混乱の元は、人工知能の「ラブマシーン」がOZに入り込んだせい。栄の夫の隠し子で、幼い時に栄に引き取られ分け隔てなく育てられた侘助。頭脳明晰ではあるけれど、長い間放蕩していて、家族からはみ出した侘助は、この事件に関係しています。10年ぶりに侘助が現れた時、毒づく彼に栄がかけた言葉は、「ご飯食べるかい?」でした。これが愛情でなくてなんでしょう。
侘助が事件に関係していると知るや、彼を槍で追いかけ回し、「身内の不始末は、みんなでカタをつけるんだよ!」と、家族を奮い立たせる栄。他の家族には血の繋がりがある侘助ですが、たった独り、栄にはないのです。妾腹の子の不始末を「身内」と言いきった栄。身内だからこそ、腹が立つのです。その言葉に栄の器の大きさと、侘助への深い愛情が忍ばれました。
侘助とて、そんな栄の愛情に応えたくて、空回りしていたのでしょう。大金を持ちかえり、名を上げる事で、栄に報いたかったのですね。「ばあちゃんなら、俺の気持ちをわかってくれるだろう!」という、切々とした彼の言葉も胸に響きました。栄が大事にしてくれればくれるほど、妾の子として肩身の狭い思いをしてきたのでしょうね。
「うちはばあちゃんの言う事を守って、ずっとやってきた。だからばあちゃんの言う事は絶対なの」という、陣内家長女の言葉。さらっと聞き流す人もいるでしょうが、実は大変深い意味があります。家族の意見がバラバラの時、絶対服従と言うと聞こえが悪いですが、そんな人が必要でしょう?言いたい事も腹膨るるほどではないのなら、ぐっと堪えて家長の意に沿うように家族が協力すること。それは家族の方向を定めるだけではなく、家長を育てると言う事にも、繋がるのではないでしょうか?
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08月14日(金)
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