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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「パッチギ! LOVE&PEACE 」
昨日観て来ました。いっしょに観たのは共に感激した前作「パッチギ!」も観た友人で、彼女は韓流ドラマ大好き主婦で、私なんぞよりよっぽどハングルもわかっているという御仁。しかし親韓派と在日二世の私という、この映画へは好意的なはずの二人の感想は、観終わって異口同音に「前の方が良かったな」でした。丹念な時代描写や、在日の当時の暮らしぶりの再現など、印象に残るシーンも数々ありましたが、あれこれ詰めすぎて作品が散漫になっていたし、差別を問題提議しているにしては、作りが甘いと感じました。今回ネタバレです。オマケに長いっす!
前作より6年後の1974年、アンソン(井坂俊哉)は妻桃子を亡くし、息子チャンス(今井悠貴)は難病の筋ジストロフィーにおかされていました。オモニ(キムラ緑子)と妹キョンジャ(中村ゆり)と共に、治療のためヘップ業のサムチュン(伯父)を頼り、上京していました。焼肉店に勤めるキョンジャは、その愛らしさからスカウトされ芸能界へ。トントン拍子に売れていくキョンジャですが、当たり前のように在日であることを隠すように言われ、疑問が募っていくおり、太平洋戦争を描く作品のヒロインに抜擢され、苦悩は深まります。
最初続編が作られると聞いた時、悪い予感はしていました。「パッチギ!」が幅広く好評価を得たのは、青春モノだったからだと思っています。社会を知らない未熟な、しかし善良な日本人男子を主人公に、誰にでも理解し易い人種の壁を越えた恋を絡めて、何故差別があるのか、当時の在日の生活は心情は?などを実に繊細にストーリーに折込んでいて、大変感心したものです。
青春を描くことは、次代に明るさを予見させるのも容易です。そして差別を描くのも、よくは知らないが大人の受け売りという部分もあるはずで、まだまだ対等に描くことも可能で、その辺日本の人にも逆差別感が起こらず、観易かったのも好評の要因だったと思います。しかし大人を描くと、これはなかなか日本の人に納得してもらうのは容易ではないはず。その危惧が当たってしまいました。
まずは順を追ってから。電車内の暴動で、結果的にアンソンたちに加担した結果になり国鉄をクビになった佐藤(藤井隆)の心情は、良く理解出来ました。彼は東北出身でのちに孤児院で育ったと告白します。訛りの抜けない純朴な若い佐藤は、東京で友人も少なかったのでしょうか、クビになった早々、暴動後焼肉屋に誘ってくれたアンソンを尋ねたのはわかる気がします。そこで腰を痛めた彼に、「今日は泊まっていき」と初対面の自分に言ってくれた、オモニの優しさは身に染みたでしょう。在日の良き面である人情の深さに、親兄弟を知らない彼が魅かれていったのは自然でしょうし、東北というのは地理的に在日韓国人は少なく、存在自体も初めてみる佐藤には、差別心が当初から湧かなかったとも思われます。金塊の密輸に加担したのも、佐藤のアンソンへの義侠心の表れかと感じました。佐藤の口ずさむ「傷だらけの人生」は、上手く機能していました。
しかしこのことに対するアンソンの態度はどうでしょう?自分たちの身内意識で佐藤を巻き込んだなら、彼を置き去りにあのまま逃げてしまうのはどうでしょうか?いくら佐藤が自ら犠牲になってくれたとは言え、後のフォローは?「お前出てこれたんか?」」と笑顔は何事?例え難病の息子がいるにしろ、思い直して自分も警察に出頭せねば卑怯です。その上黙秘権で出てこれた、チクった船長も証言を翻したとは、あまりにご都合主義。この時代拉致問題も水面下で囁かれ始めていた時でしょうし、北朝鮮のスパイが暗躍しているという噂もありました。密航もあったでしょう。そんな時代海辺で起こった朝鮮半島絡みの事件で、これで済ますのはいかがなものか?普通は釈放して泳がす、ではないでしょうか?日本の警察や公安は、こんなに甘くはないはずです。
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05月27日(日)
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