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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「狼少女」(DVD鑑賞)
昨年とっても観たかったのに見逃した作品。ちょうど手術で入院する前日から一週間だけ、テアトル梅田でモーニング上映でした。入院前日の土曜日は仕事を休ませてもらったので、観に行こうと思えば行けましたが、うちの夫は普通の人なので、そんなことをすれば、後々何を言われるかわからないので、涙を呑んで止めました。その後映画館復帰後は新作を追いかけるのに忙しく、すっかり忘れていたのですが、高知のオフシアターベスト10で、日本映画の1位に選ばれた聞き、また観たい気がむくむく。「仁義なき戦い」の一作目といっしょに、久しぶりにレンタルしてきました(どんな組み合わせやねん)。正直に言うと細かい難点もいっぱいで傑作とは言い難いのですが、同じくらい繊細に子供達の心もすくい取り、視点が常に子供の目線であるのが素晴らしく、この小品を1位に選んだ高知の映画好きの方々の目の高さと暖かさに、敬愛の念が湧きました。

昭和40代年から50年代くらいの、とある田舎町。小学四年生の大田明(鈴木達也)は、この町で新聞記者の父(利重剛)と専業主婦の母(大塚寧々)と暮らしています。明は今、神社の境内でテントを張る見世物小屋が気になってしかたありません。そんな頃東京から手塚留美子(大野真緒)が転校してきます。利発で垢抜けた留美子は、すぐクラスの人気者に。このクラスにはもう一人、貧しく汚い格好のため、いじめの対象になっていた小室秀子(増田玲奈)がいます。クラスメートは、見世物小屋に出ている「狼少女」は、秀子ではないかと噂しあいます。

時代がだいぶアバウトなのが、一番の難点です。見世物小屋の代金が子供80円大人150円というのは、昭和30年代の終わりも匂わせますが、田舎田舎と何回も出て来る割には、子供達の服装など結構おしゃれであまりその時代を匂わせません。ゲイラカイトは確か私が中学に入るか入らないかの時分に出てきた凧ですが、それなら昭和40年代末。その割には秀子の不潔な身なりは余りにすさまじく、私は昭和36年生まれですが、あのようにぼさぼさのざんばら髪、皮膚疾患もそのままの子供は、あの時代にも見かけた記憶がありません。

画面に出て来る秀子の母(手塚理美)や幼い下の兄弟たちの身なりは秀子ほどひどくなく、これはどうしたわけ?父親は出稼ぎのようですが、いくら病身の母という設定でも、内職出来るのですから、娘の髪を梳いてやるくらいは出来るでしょう。体の早熟な秀子がブラジャーが買えず、留美子からお古をもらうのですが、そのことを秀子の母は、貧しくとも施しを受けてはいけないと娘に諭します。それは清貧の心を秀子に教える良い場面として挿入してありましたが、あのような不潔な身なりの娘に平気で、「仕事(朝晩の新聞配達)に遅れるよ」と声をかける無神経な母親に、そんなこと言えた義理かと私は少々憤慨。それに仕事に遅れるのはいけないのに、兄弟の面倒をみる為学校は遅刻していいの?そんなのおかしいよ。まだ小学生なのに家庭の犠牲にして、心が痛まんのか?優しく凛とした母のように表現していますが、私はこのお母さんは全然共感出来ませんでした。

対する明のお母さんは、専業主婦からの自立にもがき、秀子の母が30年代なのに対し、こちらの母の憂鬱は、昭和50年代からテーマになってきたもので、この辺の整理が出来ていません。大目にみて、明の父が電車賃として差し出す500円札は、このアバウトな時代設定を全て網羅して流通していた記憶があるので、全部を表したいのだという事で納得しましょう。明の両親の夫婦喧嘩の内容も、昭和を象徴するようなものでした。今なら、「子供のことは全てお前に任せているだろう!」と妻に怒鳴る夫など、ぶっ飛ばされますからね。

対する子供達の描き方は素晴らしい!ジャイアンがいて、スネオがいて、のび太くんがいて。意地悪で群れたがる女子気質もきちんと描けています(女性トイレで髪を整える子は、平成の女子だと思うけどね)。


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04月29日(日)
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