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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」
本年度ゴールデングロブ賞ミュージカル・コメディ部門で、最優秀作品・主演男女優賞を取り、オスカーでも主演男女優賞にノミネートされている作品です。偉大なアメリカのロカビリー歌手、ジョニー・キャッシュと、その妻(2度目)ジューン・カーターの伝記物で、何でもキャッシュを演じるホアキンがそっくりなんだとか。ほ〜、それは楽しみ、と思っていましたが、ここで問題が勃発。よく考えたら、わたしゃジョニー・キャッシュの歌を知らないどころか、顔さえはっきりわかりません。この作品にもちょい出てくるプレスリーなんぞ、歌も知ってる映画も観たことあるのに、どうしてでしょう?(ちなみにやはり出てくるジェリー・リー・ルイスが歌っているところは、テレビで観たことあり。)こんなんで大丈夫かいな?の危惧も、二人の熱演と心地よい音楽で、見初めてからすぐに払拭されます。キャッシュをご存じない方でも、問題ない作品です。ちなみに、↓が本物のキャッシュ。ちょっと恐そうですね。

貧しい綿花を作る小作農の家に生まれたジョニー・キャッシュ(ホアキン・フェニックス)。幼い時大好きだった兄に死なれ、お気に入りだった長男を亡くした父は「神様はいい子を連れていった」と、さもジョニーが死ねば良かったようにいい、その時から長く父とジョニーは確執がありました。二年の軍隊生活を終え、初恋のヴィヴィアンに猛アタックしたジョニーは、首尾よく結婚までこぎつけます。しかし幼い時からラジオから流れる歌が心の支えだった彼は、仕事が身に入らず、熱心なのは趣味のバンド活動だけです。妻とケンカが絶えない日々でしたが、あるレコード会社のオーディションに合格した彼とバンドは、一躍流行歌手の仲間入り。ツアーに次ぐツアーの成功は、彼に膨大な金をもたらしますが、離れて暮らす妻とは徐々に溝を深めていきます。そんな彼の心の支えは、少年の頃から憧れていた、幼い時から舞台に立つジューン・カーター(リース・ウィザースプーン)でした。キャッシュとジューンはツアーを組み同じ舞台に立ちますが、激しく消耗する心身に、やがてキャッシュは薬と酒、女に溺れていきます。

この系統の大衆音楽家のお話は「レイ」でも描かれています。酒と女と薬に溺れるのもいっしょ。違うのは妻です。一心にレイを支えたレイの妻に対し、キャッシュの最初の妻は、生活苦をなじり、生活が豊かになっても、今度は家に居れない夫に噛み付きます。前者は大衆の星であるレイ・チャールズの妻として、夫を理解し支える美談、後者はどこにでもある夫婦の亀裂に感じます。しかしどこにでもあると言う所が、理解はし易いですが通俗的で、後世に名を残すロカビリー歌手である、ジョニー・キャッシュという人が浮かび上がりません。

例えばレイ・チャールズは大衆が望むようなヒット曲を作り続けることに激しい疲れをみせ、それがため薬や酒に溺れるのが手に取るようにわかるのですが、キャッシュの場合、音楽に対しての思い入れがそれほど感じられません。少々プロ意識に欠け、偶然のラッキーだけで人気者になった感じで、実際当時のショービスの世界がそれほど甘かったとは思えません。

しかし、ずっとツアーを共にし、お互い惹かれあいながら、中々結ばれなかったジョニーとジューンのロマンス物だと思うと、これは悪くないお話です。二人とも出会った時は家庭があり、子供がいました。それが紆余曲折を経て結ばれるまでを、カントリーありロカビリーありバラードありで、吹き替えなしの素晴らしい二人の歌声に乗せて描いていて、その点は大成功に感じます。これは主役二人の頑張りに他ありません。


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02月24日(金)
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