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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「花と蛇2/パリ 静子」(ちょっと18禁モード)
昨日今年めでたく40女の仲間入りをした友人と観て来ました。前作も出来が良ければ観ようかと言っていましたが、散々な評判に立ち消え。今回は出来はどうあれ、一度はこういうのも観ようと話はまとまり、昭和のレトロ感たっぷり、女一人は普通の作品でも入るのに微妙なホクテン座で観てきました(ヒットしているみたいで、広い方のユーラク座に小屋替え)。思ったより女性客が多かったものの、もうオヤジばっかり!平日11時にこんな作品を観るという暴挙に出たものの、座席は6割入っていました。こんなにたくさん人が入ったこの劇場を、私は知りません。

美術評論家の遠山(宍戸錠)は、35歳年下の後妻静子(杉本彩)と円満に暮らしていました。ある日画壇の長老から静子をモデルに妄想で書いたSMのCGの絵を見せられた遠山は、長老から静子の眠っている娼婦性を指摘されます。長老の死後、遺品としてその絵のCDを受け取った遠山は、加齢により妻を性的に満足させられない鬱蒼とした感情とが重なり、ある計画を思いつきます。その計画により遠山は、パリ在住の才能があるのに不遇をかこつ画家池上(遠藤憲一)の元に、静子を向かわせます。

何だかこの手の作品で「パリ」というだけで、返って安もんくさいです。実際パリである必要など全くなくありません。そういえば読んだことはないですが、フランス書院という官能小説を出している出版社がありましたっけ?おフランス→エロ、という図式か?

もう杉本彩の裸・裸・裸!!!綺麗なので構いませんが。実際エレガントな服を身にまとう彼女より、裸姿が一番美しく感じます。この作品は石井隆監督のオリジナルみたいですが、原作はかのSMの巨匠団鬼六ということで、私には未知の世界のSMのあれこれが描かれます。これがなんと言うか、女の私から観ればエロス、ポルノというより、体力勝負の印象です。あんなに体を柔らかくするには、まずトレーニングが必要かと。ヘタすりゃ骨折です。全裸で縄にしばられたり鞭でしばかれたり、次の日体がミシミシいって、足腰が立つのだろうか?と思ってしまいました。それに全身痣だらけになるはず。M志願の人は若い時から修行を積むのだろうと勉強になりました。私の年齢ではとっても無理です(あぁ良かった)。

これを果敢に挑戦する杉本彩には、同性として敬意を感じます。それなりに名のしれたタレントの彼女が、ここまで演じるのは(それも2作)根性を感じ立派だと思いました。ただこれがマイナスに働いてしまった感じもするのです。上の官能などまるで感じていない感想は、やり過ぎ感からきているのです。

筋としては結構まともで、女を見る目のある長老から静子の心の底の淫乱さは指摘されているので、ちょっと妖しげな本を読んだだけで、エッチな妄想しちゃったり、遠山が「おとなしくてSMという言葉も知らないはず。」と言う妻が、あんなパンツははかんやろと、言うのも辛くもクリア。

池上にSMチックな絵のモデルになって欲しいと懇願され、割とあっさりモデルを引き受けるのも、「あなたなら遠山さんの望む絵が書けそうなんだ!」と言うセリフで、静子の心は前日池山に押し倒されちょっと体が火照る→心の底ではモデルになってみたいが、愛する夫(これは本当)がいるという理性でダメ→でも私がモデルになると、夫の望む絵が描けちゃったりするわけ?→そうよ、ヨソの男の前で裸になるのは愛する夫のためなのよ!という「いいわけ」が出来るので、これもクリア。しかし杉本彩は演技力にやや難ありなので、ここは数秒の表情の動きで表現せず、もっとじっくり描きこんで欲しかったです。その点遠藤憲一は初めは罠だったのが、段々本心から静子に惹かれる池上の心を一瞬の表情で浮かび上がらせてさすがです。


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05月20日(金)
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