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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「歩いても歩いても」
あつしの様子もとても感慨深いです。新しい父である良多を、「りょうちゃん」と呼ぶ彼ですが、「招来なりたいものは、一番がピアノの調律師、二番目が医者」という独白は、この新しい環境にどうやって順応していこうか、懸命に幼い心を砕いている様子が手に取るようにわかり、思わず目頭が熱くなりました。
ラスト、三組の家族がお互いを思う気持ちは、それぞれ微妙にすれ違っています。親から見れば寂しいけれど、それは本当に子供が独立したということなのでしょう。喜ぶべきなんでしょうね。
子供たちが小さい頃、海だ山だ、プールだと連れ歩いていた時は、子供の喜ぶ顔が観たいため、私が連れて行っていると思っていました。その必要がなくなった今、あれはいつかは巣だって行く息子たちが、親に幸せな時間をくれたのだ、連れて行ってもらっていたのは親だったのだと、思っています。
「息子の運転する車に乗って、買い物行くのが夢なのよ」と言っていた母。その願いは生前叶えられませんでした。親孝行、したい時には親はなし、的なエンディングですが、そうでしょうか?「息子の運転する車」というのは、「車が持てるくらいの安定した生活をしている」息子の環境を、母が願っていたからではないでしょうか?私はそう思うな。監督は知らないけど。なのであのエンディングは、草葉の陰で、お母さんはとても喜んでいたと思います。
07月24日(木)
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