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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「盤上の向日葵」
さて私が一番良かったのは、東明と賭け将棋を指す兼崎(柄本明)。多分、伝説の人なんでしょうね、将棋に対しての執念や凄みも感じさせ、娘(片岡礼子)の「あんな父は久しぶりに見ました。ありがとうございました」の台詞も、将棋がなければ生きて行けない、幸福で辛い賭け将棋士の性を感じさせて、短い台詞なのに素晴らしい。この気の利いたセリフが、他にももっと欲しかったと思います。
以上、気を削がれる事が度々で、桂介の背景に同情出来るのに、感情移入出来ませんでした。全体的に、原作の上っ面をなぞった感が残ります。生い立ちが厳しい人は、形を変えて世の中いっぱいいます。それは金銭的な事だけではないです。自分を守ろうと思うなら、「魔」が口を開けていても、絶対吸い込まれない事。寄る辺ない身の上だからこそ、人頼みではなく、自分を律してセルフコントロールしなければいけない。感情に流されず、自分の気持ちに、正直に優先順位をつける。多分叙情的な琴線に触れた人が多いと思われる作品ですが、私には、とってもドライな感想が残りました。
11月18日(火)
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