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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「鬼平犯科帳 血闘」
新しい造形では、火野正平の彦十と中村ゆりが良かったです。同じ愛嬌でも、誠実だった猫八とは違い、食えない感じが良かった(笑)。長門裕之が演じた猫八には、申し訳ないけど拒否反応が出ましたが、今回の彦十は好ましく思います。お雅も梶芽衣子の印象が深く、ミスキャストかと思いきや、持ち味の儚げで脆い危うさを逆手に取り、芯の強さを浮かび上がらせて、中村ゆりのおまさ、私は大いに有りだと思いました。

前任者踏襲型では、佐嶋の本宮泰風と、木村忠吾の浅利陽介が良かったです。ゲスト扱いでは、引き込み女の志田未来、遊女の松本穂香が、意外なキャスティングだと思いましたが、二人とも好演。あばずれの純情や深情けを、的格に表現出来ていたと思います。北村有起哉は、仕事の出来る公務員からやくざまで、何でも出来る人ですが、今回も下衆な悪党を、憎々しくではなく卑小に感じさせて、良かったです。お父さんとはタイプが違いますが、私は素敵な俳優さんだと思います。柄本明の一人働きの盗賊九平も、いつもながらチャーミングで、とても良かった。彼のお陰で、作品に箔が付いたと思います。

セットや所作、セリフ回しなどは、流石に作り込まれており、チャンバラ場面もふんだんで、堪能出来ました。「鬼平犯科帳」は、幸四郎の祖父八代目幸四郎、丹波哲郎、萬屋錦之助版があり、それぞれのファンが思い入れのある作品。なんだかんだ言って、今の時代劇衰退の時代に、これだけの物を作ったのは、立派だと思います。日本映画専門チャンネルで続々新作が放送されるので、そちらも必ず観たいです。粂八や五郎蔵、伊佐治も出てきて欲しいなぁ。

05月14日(火)
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