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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ケイコ目を澄ませて」
岸井ゆきのが素晴らしい!運動神経や動体視力がすごくて、びっくりしました。ボクシングのシーンも様になっていました。売れっ子なのに、いつ練習したんでしょう?台詞がほぼない中、ケイコが何を思い何を考えているのか、「手に取るように」ではなく、見る人に委ねる演技が、とにかく秀逸です。「障害者以外の自分」に、ボクサーを選んだのは、彼女の人生に対しての熱量と、一致したからではないかなぁ。「器量」が大きいんだものね。

もうお爺さんと言っていい役柄の三浦友和がすごくいい!カッコ良くもなく渋くもなく、でもそれこそ、「器量の大きさ」を感じさせる会長でした。奥さん役は仙道敦子。超久しぶりに観ました。綺麗に年齢を重ねて、三浦友和とも実年齢に差があると思いますが、熟年夫婦の穏やかな絆を感じさせて好演でした。三浦誠己は、「母性」のドクズの夫から、誠実で熱意のあるトレーナー役に大変身。いい役者さんです。

ラスト、試合の後日、対戦相手がわざわざケイコを見つけ、「この間はありがとうございました」と、挨拶に駆け寄ります。さっきまで殴り合いをしていた相手と、ゴング終了のあと、お互い肩を抱き合い健闘を称え合うのは、ボクシングの醍醐味の一つと、聞いた事があります。この醍醐味は、私は障害の如何を問わないものだと思います。ケイコはジム閉鎖後、どうするのか?目を潤ませても、決して涙は流さないケイコ。その気の強さは、ボクシングに向いていると思います。

聴覚障碍者に対して理解も深め、かつ秀逸な人間ドラマでした。地味な作品ですが、ずっしりと手応えのある作品です。

01月10日(火)
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