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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「犬も食わねどチャーリーは笑う」
ある事で、日和も裕次郎に許せない思いがあります。この夫婦はセックスレスなのですが、それは多分、その事に起因している。冒頭で裕次郎は筋トレに励んでいるのは、セレトニンを分泌して、セックスが無くとも平気にはると、嘯いていましたが・・・違ーう!やる事は筋トレじゃなくて、夫婦で向かい合う事です。
向かい合うのを避けているのは、日和も同じ。ここは私は同性なので、日和の気持ちが良く解る。離婚、とまでは思っていないので、家庭に波風立てたくないのです。だから「旦那デスノート」で、憂さ晴らしなんです。日和も言ってたなぁ。「ここで書いているから、夫の前でニコニコしてられるんだよ!」と。
すごく腹が立ったのは、ナチュラルに日和の仕事を下に観ている事。これはうちも一緒です。時間と月収とか、関係ある?仕事は仕事だよ。どうして妻の仕事は片手間で、自分の仕事は偉いんだろう?尊重出来ないのだろう?うちの夫も、言っていました(取り敢えず過去形)。「今日は雨なので、仕事は休め」。当時自転車通勤だった私を、大事にしている「つもり」なんです。ピント外れまくりでしょ?正解は、「気をつけて、仕事頑張っておいで」です。夫婦とも、かける言葉は一緒のはず。裕次郎も似たようなピント外れな言葉をかけて、日和は怒ります。
浮気もせず毎日仕事に行って、何の文句があるのか!と、うちの夫はよく言っていましたが、令和の裕次郎は、言葉にこそ出しませんが、親世代の男と同じ価値観なのよ。不倫もせず毎日仕事?それが偉いのか?当たり前じゃないの?こちとら、それに加えて家事育児(この夫婦は子供無し)、近所付き合い親戚付き合い、夫のご機嫌取りです。自分の機嫌くらい、自分で取れよ。その驕りがある間は、夫婦の溝は埋められません。
プロットでは、結婚を強調したいがため、LGBTの話をねじ込んでいて、これは要らないと思いました。出版社の編集者の日和への固執も、最後は余計。出版業界の悲哀なんか、必要ないです。これらの為に、作品が冗長になり、締まりに欠けました。反対に浅田美代子の姑の描き方は、もう少し掘り下げても良かったです。夫婦の悩みに、両家の親が絡むと、ロクな事はないんだぞ。
紆余曲折を経て、妻に向きあっていなかった自分を顧み、涙ながらに今後は向き合う事を誓う裕次郎。実はね、私はここで感動したの。男が夫婦の悩みで泣いたっていいんだよ。泣くほど堪えて、泣くほど悩んだって事ですよね?美しい涙ですよ。妻だってね、未熟な夫を泣かせてこそ、一人前なんだよ。なーんてね。
思い出の共有、互いに向き合う事、支え合う事。夫婦には何が大切かを表現したラストは、二人の体格の凸凹さを上手く使って、クスリと微笑みました。うちは去年一年、発狂しまくる私を見て、鈍い夫は、ようやくこれは夫婦の危機なのだと悟ったようです。遅いよ!小出し多出し、今までいっぱい出していただろうが!結婚40年目にして、ようやく妻に向かい合っています。今悶々としてる奥さんは、この作品を夫婦で観て、一緒に考えて下さいね。
09月25日(日)
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