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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「茲山魚譜 チャサンオボ」
ジョンテがどのような選択をしたか?この顛末も、きっと書物にしたと思います。跳ね返されたとて、後世の人々が役立つはずだから。ヤクチョンの願った皆が平等な世界は、当時としたら罪深い願望で、決して実現できる世界ではありませんでした。しかし今を生きる私には、大海から、だいぶ向う岸が見えてきたように思えるのです。もうひと頑張り。私たちの言動が、後世の人々に役立つのです。
久しぶりに観るソル・ギョングは、これが初めての時代劇だとか。今回も申し分のない演技で、自然過ぎて好演には思えない程。これこそ名優の証しです。ピョン・ヨハンは、学びを深める過程でのの喜びと挫折を誠実に好演。ジョンテの心が深く届きました。リュ・スンヨンは、兄を支える弟の真心が良く出ており、控えめながら彼も人格者なのが解ります。そしてヤクチュンの世話をする未亡人カゴ役のイ・ジョンウ。破竹の勢いの名バイプレーヤーですが、今回も無学ながら、物怖じせずヤクチュンに進言する様子や、好意を寄せる様子などに様々な女心を、ユーモラスに演じています。この二人の脇役の好演は、確実に作品を盛り上げていました。
幾らでも難しく哲学的な掘り下げが出来る内容を、平地まで降りて来て描いています。モノクロで描く風景は陰影深く、島の日常は貧しさより自然に恵まれた豊かさを感じ、都は欲にまみれた薄汚れたものを感じます。何故学ぶのかは、自分の人生を豊かにし、人に尽くすため。他者が喜んでくれれば、自分の人生は潤い満足感が増すのでしょう。私はずっとずっと、自分のためだけだと思っていました。人生や学びの美しさを実感する作品。
12月03日(金)
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