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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「最初の晩餐」
アキコの夫は二人の不倫のせいで亡くなり、大事な息子は出て行き、継子からは疎まれ、命懸けでで結ばれた今の夫は64歳と早くに亡くなる。罪を胸に秘め、二人で出かけた事もなかったでしょう。罪を背負い罰を受け、それでも継子たちに微笑む。この覚悟がなければ、不倫などしてはいけない。それは美也子に伝えたい母としてのアキコの想いだったのだと、私は感じます。
育った家庭に夢破れた美也子は、早くに結婚して自分の家庭に期待したはず。それが真面目で大人しい夫が、華やかな彼女には、段々退屈に思えてきた。同級生は、そういうことでしょう。美也子がアキコの心を受け取った場面が嬉しい。
家庭というものがわからず、結婚に踏み切れない麟太郎の彼女が作ってきたのは、おはぎでした。それは偶然、日登志の好物でした。家族の誰もが日登志の好物を知らなかったのは、日登志はそれさえ律していたのだと思います。このおはぎは、呪縛からの開放ではなかったかと思います。
シュン(成人後・窪塚洋介)が通夜に現れます。生業は登山家。山の素晴らしさを教えたのは日登志。日登志はアキコを自分の命に代えて、罪と罰から開放してのではないかな?愛だと思います。その意を汲み取った上での、アキコの手料理ではなかったかと思います。
家族には家族の数だけ形があり、歪でも不恰好でも、受け止め昇華していくのが、子供の責任なんだと、難儀な家庭に育った私は、改めて思いました。忘れられない作品になりそうです。
11月18日(月)
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