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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ブラッククランズマン」
後半はコメディタッチを残しながらも、何時かはばれてしまうのか?KKKはどんな手を使ってくるのか?と、ハラハラします。KKKが出てくる映画で、私が思い出すのは、「背信の日々」と「ミシシッピー・バーニング」です。後者は差別の根源は、「貧しさ」だとジーン・ハックマンに語らせます。この作品のKKKも一部を除き、プアーホワイトと思しき人が多い。特にフェリックスの妻コニー。大層太っていて、食事や接待など集会の世話をさせるのに、友人たちの前で話す事すら、夫は許さない。そして「大きな仕事」を妻に任せますが、それは大変危険な仕事。それでも彼女は夫の事を、「こんな私を愛してくれる人」として、夫について行きます。コニーの造形は、白人である事以外、自己肯定出来ない人、自分に自信がない人が、白人至上主義になると言っているようです。事実それが、世界中の極右を支持する人の正体なのではないかしら?

自分の友人が、如何に凄惨な目に合わされたかを、大学生たちに語る黒人の老人。時を同じくしてKKKは華やかな集会を行っている。交互に「ブラック・パワー!」「アメリカ・ファースト!」を集団で連呼する演出は圧巻で、脳裏に焼きついています。「アメリカ・ファースト」と言えば、トランプの専売特許だよなーと思っていたら、2017年の現実の映像が流れ、一見ドキュメンタリー風に場面は転換。流れをぶった切る演出は、拙いとか上手いとか言う以前に、どうしてもこれを、監督は入れたかったんだと、その気持ちが強く伝わったので、私はOKでした。今も昔も、黒人の悪しき状況は、代わり映えしていない、それが言いたかったのだと思います。

主演のワシントンは、私の愛するデンゼル様の息子なんだとか。お父さんの方が素敵だわ(笑)。でもジョン君も愛嬌ある雰囲気で、好感度は高し。アダムは娯楽作、問題作、インディーズと何でもござれで、全部上手いのに、どれもアダム・ドライバーとしての個性が出ているのがすごい。今後もっと出世すると思います。

作品としては「グリーンブック」の方が、間口が広く端正に作ってあって、オスカーには相応しいとは思いました。差別に対しての入門編と言う感じかな?「ブラック・クランズマン」は、良い白人はちっとも出てこず、視点にかける点もある。でも私が何年経っても、強烈に覚えているのは、多分この作品だと思います。リーの叫びは、いつまで入門編でお茶を濁してんだ!と言うところでしょうか?

ラスト、ロンとパトリスが未来へ向かって闘うのを想像させる演出は、リーの今の心境なのでしょう。還暦過ぎての燃える闘魂を見せて貰って、私もファイトを貰いました。

03月24日(日)
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