ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927404hit]
■「キセキの葉書」
二番目に好きなシーンは、ある事で自分を責め、せっかく書いた原稿を美幸が破ってしまうのですが、それを長男が拾い集め、セロテープで繋いでいる。「お母さんには、これが必要なんや」。もう号泣しました。私も子供たちの幼い時、あれもこれもと励まして貰った事が、蘇りました。この長男君、子育てのパートナーの如く、母を支える良い子でねー。これも家庭生活にありふれた風景でしょう。夫はイマイチ存在感が薄いですが、時々飄々と良い事言ってくれるし、仕事をしっかりしてくれているから、良しとしよう(笑)。いやいやほんまに。
家族が心配だから、留学先から帰国すると言う夫に、「家族の誰も、我慢したらあかん」と答える美幸。「あんたは、望のために我慢しているやん」と夫が言うと、「何を言うの。望のお陰で、どれだけ私らは幸せか」と、答えます。望がいるから、小さな事にも感謝し、人と繋がり、心豊かに生きられると、美幸は言いたいのです。テレビのドキュメンタリーで、生まれつき顔に障害を持つ娘さんを持つお父さんが、「この子がおったから、私はこんなええ人(善人)にさせて貰いました」と微笑んでおられた姿が、重なります。
鈴木紗里奈の演技は、演技以上に存在感が抜群でした。ほっそりとスタイルの良い彼女ですが、大きな子を始終おんぶする姿がとても自然で、苦労よりも、私が育てる!と言う気概に満ちていました。持ち前の明るさと逞しさが、功を奏してます。最初の舞台挨拶の時は、シングルマザーで子育てする自身が、役柄と重なってと、涙したとか。様々な彼女自身の要素が美幸に投影され、しっかりとした役作りになったのでしょう。彼女の起用は、大成功だと思います。
望役の八日市屋天満ちゃんですが、ビックリするほど、望になりきっています。「奇跡の人」のパティ・デュークくらいと言えば、想像して貰えるかな?彼女の演技も、見所です。
描き方が高尚過ぎたりお仕着せがましいと、敬遠されがちな、この手のテーマ。正直ここはもうちょっと工夫して・・・と、思うシーンもチラホラありましたが、そんな小さな事は、気にしなくて良し。描かれている内容は、人生哲学です。それを大衆的に、ユーモアと愛情いっぱい、泣き笑いで描いています。終了後は劇場万来の拍手でした。やっぱり映画っていいですね!
08月27日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る