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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ボンジュール、アン」
相手は人妻。ちらちら誘うも、寸でのところで引き下がるジャックに、不快感はありませんでした。そして簡単に陥落しないアンにも、人妻としての誇りを感じ、この辺は、客層ターゲットと思われるアンと同世代の女性の、共感も得るでしょう。

唐突に出てくるアンの過去は、唐突さより、その内容の切なさの方に気が向き、彼女の素敵な人柄は、この事が起因して出来上がったのだなと感じました。多分彼女は、家庭の大切さを、誰よりわかっているのでしょう。

舞台はフランスなので、時々フランス語が挟まれますが、こちらには字幕なし。これは何を言っているか解る方が、お話がもっと楽しめると思います。それとジャック。演じるヴィアールは、悪くないけど、個人的にタイプじゃありません(笑)。最近お金持ち、権力者が持ち役の感があるアレック・ヴォールドウィンですが、昔は優男だったのを知る私は、今の恰幅良い彼を見ても、その残像を追いかけちゃう。夫と同じくらい素敵じゃなきゃ。ランベール・ウィルソンとか、ダメかなぁ。ジャン・ユーグ・アングラードって、今何しているのかしら?(初老も優男が好き)。

この作品は、監督の経験が元になっているとか。かつてジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンに愛された、パティ・ボイドは、インタビューの中で、「私は有名人の妻としての人生しか歩いてこなかったので、それがなくなった時、どうして生きるか途方にくれた」と語っています。それほど、妻にも重圧なる事なのでしょう。エレノアもドキュメンタリー畑の人で、フィクションでは、80歳にして今作が初めての作品だとか。挑戦を忘れない彼女は、有名人の妻でありながら、その重圧を跳ね返した人なのでしょう。

アンのチョコ好きを忘れないジャックが送った、最後の洒落たプレゼント。夫には、なかなか出来ない芸当がいっぱいだった彼ですが、個人的にはこれが白眉。ラスト思案しながら笑顔でチョコを頬張る、意味深なアン。旦那さん、頑張って下さいね(笑)。地に足つきながら、でもちょっと夢見心地な、素敵な時間を過ごせる作品です。

07月09日(日)
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