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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「マダム・フローレンス!夢見るふたり」
そして誰よりフローレンスの素晴らしさに、説得力を持たせたのは、献身的に支える夫のシンクレアです。貴族の生まれながら、妾腹のため、爵位は貰えず。生い立ちは複雑で、生きる上で辛酸も舐めたでしょう。知り合った当時は大根役者で、悪い記事はフローレンスが隠していました。あー、妻が自分を「守って」くれた事を、ただお返ししただけなんだな。
最初はシンクレアも、お金目当てでフローレンスと付きあっていたのでしょう。しかし、段々と彼女の人柄に魅せられ、人としての誇りも回復したのでしょうね。男妾のような状態なのに、彼には微塵も卑屈さはない。二人といない素晴らしい女性である妻の人生を、自分が支えていると言う自負です。
これを誰が演じるか?女好きで軽くて愛嬌があって、最初は下心があっても改心する・・・。この役、今までのヒューの集大成じゃないですか。妻と愛人と行ったり来たり、両方にご機嫌取る様子は、大変ねぇと、誰が同情させる?ここれを品よく演じるのは、ヒュー・グラント以外には考えられません。
本当は歌がすごーく上手いメリルですが、今回絶妙に音程を外して、私もクスクス笑っちゃうレベルの音痴な歌声を披露。いや〜、歌が上手い人が下手に歌うのって、難しいと思うぞ。こんな大女優になっても、毎回色んな役柄に挑戦して、本当に尊敬します。今回も完璧な役作りで、またオスカーノミニーなるか?
同年代のコリン・ファースも大好きなんですが、コリンは国王でオスカー俳優になり、通好みの作品や文芸もの、娯楽作など、何でもござれ。片やヒューは未だロマコメに出演しつづけ、超のつく大衆作ばかり。すっかり水を開けられた感がありましたが、この作品を観て、私はやっぱりヒューが好き!と、再確認しました。加齢でますます目が垂れちゃったけど、しわくちゃになって、老人ホームが舞台でも、女性を口説いて下さい。
シンクレアは、ある意味立派な男の一生です。男尊女卑が大手を振って蔓延る時代、こういう形で、男の本懐を遂げた人がいたと知ったのは、喜ばしい限り。私はフェミニズム的作品だと思います。
12月10日(土)
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