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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ヘイル・シーザー!」
しかしこのイモ兄ちゃんは、感謝の心を忘れない善意の好人物でした。他の悪たれスターたちとは違うのは何故か?ボビーは映画の裏方出身で、下積み経験もありました。この作品は、当時のハリウッドの脚本家たちと赤狩りを絡めて背景にしていますが、本当に言いたいのは、映画は俳優・監督・脚本家だけではなく、その他諸々、美術や撮影や記録や編集など、裏方全ての人間(含むエディみたいな人)の協力なしでは、作れないのだと、強く感じました。
華やかな表舞台と、誰にも言えない裏舞台をこれでもかと描きながら、根底にあるのは、裏方や脇役への感謝の気持ちです。それをあちこちに、散りばめています。この気持ちを最後の方で、エディに代弁させていました。これは監督であり脚本家であるコーエン兄弟の、「その他大勢の人たち」への、プレゼントじゃないでしょうか?だってベテラン編集者(フランシス・マクドーマンド)が、命がけ(映画を観ればわかります)で編集した作品の中のボビーは、都会的で洗練され、キザな笑顔を見せていました。これぞ編集のマジック!
出演者は何でみんなこんなに楽しそうなの?というくらい、ノリノリで演じています。クルーニーは段々タイロン・パワーに見えてくるし、エディの役じゃなくて、よく頭の軽いベアードを引き受けたなと、彼の事好きになりました。ブローリンは、先に観た「ボーダーライン(感想未)」でも、憎たらしくて大変良かったのですが、今回は映画好きなら、ハハー、エディ様!と平伏したくなるような役を、猛然とタフで精力的で、哀愁まで感じさせちゃう好演です。
他にはテイタムもスカヨハもレイフも、みんなみんなに良かったですが、私イチオシはオールデン・エアエンライク。拾い物です。出演作を見たら、結構観ているのに記憶にござらん。でもこれから出てきますよ。覚えて損のない名前です(覚えにくいのが珠に傷)。
そうそう、劇中語られるベアードの大スキャンダルですが、どんな秘密かと思ったら、なーんだ、そんな事〜でした。そんなのアラン・ドロンでもやってるじゃん(大ネタバレ)。別段悪い事だと思いませんが、そう思うのは私だけ?
二時間の間に、50年代のハリウッドの表裏がお勉強でき、かつ溢れる映画愛にニコニコする作品。往年のハリウッドの名作が、とっても観たくなります
05月15日(日)
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